― THE INSPIRE第3回で学んだ「手術痕・古傷・腹圧」から見る身体のつながり ―

先日、総合保証型セミナー「THE INSPIRE」第3回に参加してきた。

第1回・第2回では、「症状ではなく状態を見る」という考え方や、筋膜・皮膚感覚・腹圧・横隔膜などを通して身体を見立てる重要性を学んできた。

今回の第3回では、その考え方をさらに実際の臨床に近い形で確認する内容だった。

特に印象的だったのは、昔の手術やケガが、現在の痛みやしびれに関係することがあるという視点である。

肩が痛い。
腰が重い。
膝がつらい。
股関節が動かしにくい。

こうした症状があると、「今痛い場所」に原因があると考えがちである。

肩が痛ければ肩が悪い。
腰が痛ければ腰が悪い。
膝が痛ければ膝が悪い。

もちろん、症状の場所を確認することは大切である。

しかし実際には、痛みが出ている場所と、その原因がある場所は、必ずしも同じではない。

特に見落とされやすいのが、昔の手術やケガの影響である。

「首が凝るとつい鳴らしてしまう」

「パキッと鳴ると楽になる」

「気づくと毎日何回も鳴らしている」

こうした経験は珍しくない。

しかし、毎日鳴らしているのに凝りが取れない。むしろ以前より凝るようになった気がする。

そうした声もよく耳にする。

これは偶然ではない。首を鳴らす行為そのものが、凝りを作り続けている可能性がある。

「朝起きたら急にしびれていた」

「特に何もしていないのに痛くなった」

「昨日まで平気だったのに、急に腕が重くなった」

こうした経験は珍しくない。

しかし、身体の中で起きていることを詳しく見ていくと、症状は本当に突然始まったわけではないことが多い。

症状が出た日は、原因が始まった日ではない。

身体がそれ以上耐えられなくなり、表面化した日である。

発症の前には、多くの場合「蓄積期間」がある。

マッサージで戻る理由と繊維化の正体

「マッサージしてもすぐ戻る」
「ストレッチしても次の日には元通り」
「温めているあいだだけ楽になる」

こうした経験がある方は多い。

一時的に楽になるのに、なぜ戻るのか。

その答えは、筋肉が「硬くなっている」のではなく、「緩めない状態になっている」という見方にある。

そしてその背景に、繊維化という組織の変化が関係していることがある。

実際に貼って確かめながら、臨床での使い方を学んできた

毎月第一日曜日恒例のキネシオテーピングスーパートレーニング講座に参加してきた。
今回の講義も、一般向けに販売されているテーピング本の内容を土台にしながら、実際にその場で貼ってみて、身体がどう変わるのかを確認し、さらに臨床でどう応用するかを深めていく内容であった。

病院でレントゲンやMRIを撮ると、こう言われることがある。

「石灰化があります」
「椎間板ヘルニアがあります」
「軟骨がすり減っています」

すると多くの方は、

「だから痛いのか」
「もう治らないのではないか」

と感じる。

画像検査は重要である。
骨折・腫瘍・強い炎症などの確認には欠かせない。

ただし、画像に写っているものが、必ずしも今の痛みの原因とは限らない。

ここを知っているかどうかで、選択肢は大きく変わる。

― THE INSPIRE第2回で学んだ「身体のつながり」と見立て ―

先日、総合保証型セミナー「THE INSPIRE」第2回に参加してきました。

今回の大きなテーマは、
「身体はつながっている。しかし、何でもかんでも全部つながっていると雑に考えてはいけない」
ということでした。

最近は「筋膜」という言葉を耳にする機会が増えています。

筋膜は、筋肉や内臓、皮膚、骨などを包み込み、身体全体をつなげている組織です。
そのため、よく「筋膜は全身につながっている」と言われます。

これは間違いではありません。

ただし、今回の講義で強調されていたのは、
実際にどこまで影響しているのかを確認することの大切さ
でした。

腕を動かしたからといって、必ず足首まで影響するわけではありません。
手首を動かしただけで、毎回膝が悪くなるわけでもありません。

身体はつながっています。
しかし、そのつながり方は人によって違い、動作によっても変わります。

だからこそ、ただ「全身がつながっているから」と決めつけるのではなく、実際に見て、触れて、動かして、どこまで影響しているのかを確認する必要があります。

一般的には、筋肉が縮み、腱を介して骨が引かれ、関節が動くと説明されます。
もちろんこれは正しい説明です。

ただ、実際の身体では、それだけではありません。

筋肉が動くと、その周囲にある筋膜も引かれます。
筋膜の張力が、身体全体の動きに影響します。

腕を上げる、身体をひねる、歩く、踏ん張る。
こうした動きは、ひとつの筋肉だけで行われているわけではありません。

筋膜のゆとり、皮膚感覚、体幹の圧力、重心の位置、呼吸などが組み合わさって、ひとつの動作になります。

だから、筋肉だけを見ると見落とすことがあります。

「筋肉が硬いから揉む」
「関節が硬いからストレッチする」

もちろん必要な場合もあります。

しかし、筋膜のどこかが引っかかり、身体の力の伝わり方が乱れていることで、痛みや動きにくさが出ていることもあります。

― キネシオテーピング療法を、より深く臨床に活かすために ―

2026年5月17日、福岡で開催された第42回KT学術臨床大会に参加してきた。

KT学術臨床大会は、キネシオテーピング療法に関わる医療従事者、治療家、指導者、会員が全国から集まり、臨床報告や研究発表、実技共有、意見交換を行う学びの場である。

今回の参加目的は、主に5つあった。

1つ目は、キネシオテーピング療法に関する最新情報を得ること。
2つ目は、臨床に対する見識をさらに深めること。
3つ目は、全国の先生方と情報交換を行うこと。
4つ目は、新しい評価法や技術を習得すること。
5つ目は、同じキネシオテーピング療法を学び、実践している会員の先生方と交流することである。

アールカイロでは、手足のしびれや神経痛、慢性的な痛み、術後の違和感、姿勢や動作の問題に対して、キネシオテーピング療法を重要な施術の一つとして取り入れている。

そのため、今回の大会参加は、単に「新しい貼り方を覚える」ことが目的ではない。
身体をどのように見立て、どのように変化へ導くのか。
その視点を深めることこそが、最大の目的であった。

「安静にしてください」が長引く痛みを作っていることもある

「痛いなら安静にしてください」

これは今でもよく言われる言葉である。

もちろん、骨折や重度の炎症、組織損傷が強い急性期には安静が必要な場面もある。
しかし、手足のしびれや慢性的な神経痛、原因不明のだるさや違和感が長く続いている方の場合、“動かなすぎ”が症状を長引かせているケースは非常に多い。

実際、アールカイロに来院される方の中にも、

  • 動くと悪化する気がする
  • 安静にしていた方が安全だと思う
  • なるべく横になっている
  • 「歳だから仕方ない」と動かなくなった
  • 痛いから筋肉を鍛えなければと思い、逆に悪化した

という方は少なくない。

しかし身体は、単純な「機械」ではない。
人間の身体は、“動き”と“感覚入力”によって機能を維持している。

ここを理解しないまま、「痛い=動かない」が続くと、神経系はさらに過敏になり、結果として「何もしていないのに痛い」という状態へ進みやすくなる。

セミナーで再確認した「症状ではなく状態を見る」という考え方

先日、総合保証型セミナー「THE INSPIRE」に参加してきました。

今回のテーマは、アールカイロでも日頃から大切にしている
「症状そのものではなく、身体の状態を見る」
という考え方です。

肩が痛いから肩。
腰が痛いから腰。
しびれるから神経の圧迫。

もちろん、痛みやしびれが出ている場所を確認することは大切です。

しかし実際の臨床では、痛い場所だけを見ても改善しないケースが多くあります。

なぜなら、症状はあくまで“結果”だからです。

本当に見るべきなのは、
なぜその場所に痛みやしびれが出る状態になったのか
という部分です。

夕方になると脚がむくむ。
靴下の跡がなかなか消えない。
骨盤ベルトや着圧ソックス、矯正下着が手放せない。

こうした悩みは非常に多い。

実際、適切な圧迫はむくみの改善に役立つ。
医療現場でも弾性ストッキングや圧迫療法は広く使われている。

しかし一方で、「締めているのに改善しない」
「むしろ重だるい」「しびれまで出てきた」という人も少なくない。

それは、圧迫そのものが悪いのではなく、
“締め方”と“使い方”を間違えている可能性があるからである。

むくみは単なる水分の問題ではない。

血流、神経、呼吸、姿勢、筋肉、重力への適応まで含めて考えなければ、本当の改善にはつながらない。

 

今回は、静脈の圧迫がなぜむくみに有効なのか、
そして矯正下着や骨盤ベルトなどの締め付けによって起こる弊害について解説する。

むくみは「水が溜まる」だけの問題ではない

むくみとは、血管の外に余分な水分が漏れ出し、それが回収されずに滞っている状態である。

特に脚は重力の影響を強く受けるため、水分が下に溜まりやすい。

ここで重要になるのが「静脈」である。

動脈は心臓のポンプによって強く血液が送り出される。
しかし静脈は、自力で強く押し戻す力を持っていない。

その代わりに存在するのが「静脈弁」である。

この弁は血液の逆流を防ぎ、下半身から心臓へ血液を戻すための重要な仕組みである。

ところが、

  • 長時間の立ち仕事
  • 座りっぱなし
  • 筋力低下
  • 呼吸が浅い
  • 姿勢不良
  • 冷え
  • 運動不足

こうした状態が続くと、静脈弁の働きが弱くなり、血液が下に溜まりやすくなる。

これがむくみの始まりである。

見逃されやすい炎症と瘢痕の問題

「特にぶつけたわけでもないのに急に痛くなった」
「昔の傷は治っているはずなのに不調が続く」
「体に良いと思って食事を変えたのに、逆に調子が安定しない」

こうしたケースは珍しくありません。

多くの場合、痛みは

「筋肉が硬い」
「骨がゆがんでいる」
「使いすぎ」

と考えられがちです。

もちろん間違いではありません。

ただ、それだけでは説明できない痛みがあります。

その背景にあるのが
体内の炎症 です。

しかもこの炎症は

・ケガ
・打撲

だけで起きるものではありません。

実際には

・食べ物
・アレルギー
・昔の傷や手術痕

こうしたものでも、痛みの原因になり続けます。

痛みがあるとき、人は自然と動かなくなる。
安静にすることが回復への近道だと感じるからである。
しかしその判断が、慢性的な痛みを長引かせている場合がある。
足を使わない生活が続くと、
血流が落ち、
脳への神経入力が減り、
痛みを感じやすい状態が静かに作られていく。

静脈瘤はその過程が体の表面に現れたサインのひとつである。

「ある日突然、小指がしびれた」
「気づいたら手に違和感が出ていた」

このように感じている方は非常に多い。しかし結論から言えば、しびれは突然起きたものではない。
実際には、段階的に進行した結果として表面化した状態である。

多くの場合、神経のトラブルは次のような順序で進んでいく。

冷え・違和感

しびれ

筋力低下

つまり、しびれが出た時点ではすでに初期段階を過ぎているのである。

— 神経の血流低下と左右差の正体 —

「右だけしびれる」
「左だけ違和感がある」

しびれや痛みが片側だけに出るケースは非常に多い。

しかし、人の体は左右ほぼ同じ構造である。
それにもかかわらず、なぜ症状は片側だけに出るのか。

この疑問を理解することは、しびれや神経痛を改善するうえで非常に重要である。

しびれが慢性化する主な理由は、
時間の経過とともに神経が過敏になり、
さらに脳の関与が強くなるためである。

初期は神経の圧迫や血流低下など体の問題が中心であるが、
約10週を超えると痛みやしびれの感じ方そのものが変化し、
慢性症状として持続しやすくなる。

手足のしびれが続くと、最初はこう思う。

「少しすれば良くなるだろう」
「そのうち気にならなくなるかもしれない」

実際、しびれが出始めたばかりの頃は、日常生活に大きな支障がないことも多い。

しかし、

・気づけば数週間
・いつの間にか数ヶ月
・そして「ずっとある状態」が当たり前になる

こうした経過をたどる人は少なくない。

そしてその頃になると、

「なぜか治らない」
「前より気になる」
「何もしていないのに続く」

という状態に変わっていく。

しびれは単に長引いているのではない。
時間とともに“性質そのもの”が変わっている可能性がある。

要約

関節の痛みについて「軟骨がすり減った」「使いすぎが原因」と説明されることが多い。
しかし人体の関節軟骨は機械の部品のように摩耗する構造ではなく、
代謝によって作り替えられる生体組織である。

ポイントを整理すると次の通りである。

・関節軟骨は機械のように摩耗する構造ではない
・軟骨は代謝によって常に作り替えられている
・関節は動くことで関節液が循環し栄養が供給される
・長時間同じ姿勢や小さな動きの反復で関節の動きが偏る
・動きの偏りによって血流や組織の代謝が低下する
・その結果として痛みが起こることがある

つまり膝や腰の痛みは、

「使いすぎで軟骨がすり減った」

という単純な説明ではなく、

姿勢や関節の動きといった身体全体の環境

を見ることが重要である。

人体は

使うとすり減る機械ではなく、動くことで維持される生体組織

なのである。

神経が過敏なのか、反応が弱いのか

痛み止めを飲んでいるのに、しびれが消えない。
湿布を貼っても変わらない。
ブロック注射をしても、しばらくするとまた戻る。

さらに、薬を続けているのに、しびれの範囲が広がった気がする。
ビリビリの質が変わった。
以前より感覚が鈍くなった。

こうした変化が起きている場合、単なる「効かない」では済まない。

検査では「大きな異常はありません」と言われる。
画像上も強い圧迫はない。
血液検査も問題ない。

それでも違和感は続く。

ここでまず理解しなければならないのは、「しびれ」という言葉は一つの状態を指していないという事実である。

治らないしびれ・痛みの正体と神経の物流システムを解説

検査では「ここが圧迫されています」と説明を受けた。
しかし実際に感じている症状は、その場所だけにとどまらない。

手首と言われたのに肘までしびれる。
肘の違和感が肩や首へ広がっていく。
足首の問題と診断されたのに、太ももや腰まで影響する。

レントゲンやMRIでは軽度である。
それにもかかわらず、症状は想像以上に広範囲に及ぶ。

この“診断部位と症状の広がりのズレ”を説明する概念が、

ダブルクラッシュ症候群(Double Crush Syndrome)
そして
リバースダブルクラッシュ症候群(Reverse Double Crush Syndrome)

である。

結論から言えば、

症状は「二箇所で圧迫されている」という単純な構造問題ではない。

神経は一本の線ではなく、
栄養や情報を運ぶ“輸送システム”である。

その輸送機能が低下したとき、
神経全体が脆弱化し、症状は広がる。

つまり本質は、
局所の圧迫そのものではなく、
神経の軸索輸送障害にある。

【結論】

しびれ・神経痛が変わらない理由は、治療不足ではない。

重要なのは次の整理である。

  • 体の現場(末梢)の問題か
  • 脳と脊髄(中枢)の過敏化か
  • 傷あと(瘢痕)の刺激か

さらに、

  • 小さな変化を拾えているか
  • 自分の状態を観察できているか
  • 受け身になりすぎていないか

この条件が揃わなければ、刺激は精度を持たない。

当院が最初に行うのは施術ではない。
判断の整理である。

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新着情報

2026/2/9
アールカイロは、2026年2月9日に開業20周年を迎えました。
2026/6/30
当院の7月の定休日は、3日(金)・5日(日)・10日(金)・12日(日)・17日(金)・19日(日)・24日(金)・26日(日)・31日(金)です。 
尚、20日(月)は祝日のため、4日(土)はキネシオテーピング協会関東支部合宿研修会に参加するため、お休みします。
2026/6/24

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