―「寝ていたから悪化した」わけではない本当の理由―
「朝、起きた瞬間が一番つらい」
「動き出すまでが本当にしんどい」
「しばらくすると楽になるけれど、朝は毎日憂うつになる」
こうした声は、臨床の現場で非常によく聞く。
多くの場合、
・年齢のせい
・寝相が悪かった
・布団や枕が合っていない
と説明されがちだが、それだけでは説明がつかないケースも少なくない。
この記事では、
朝の痛みが起こる神経学的な理由と、
やってはいけないこと/整え方の考え方を整理していく。
朝の痛みは「壊れている」のではない
まず大前提として知っておいてほしい。
朝の痛みは、
身体が壊れた結果ではない。
多くの場合、
神経が正しく働くための条件が、一時的に最も悪くなっている状態
それが、朝という時間帯である。
なぜ朝は痛みが出やすいのか
① 刺激が極端に少ない時間帯だから
睡眠中は、
・身体をほとんど動かさない
・重力刺激が最小になる
・関節や筋肉からの感覚入力がほぼ入らない
神経にとっては、
「刺激不足」=活動を維持しにくい環境になる。
刺激が不足すると、
-
神経細胞でのタンパク合成が低下
-
ミトコンドリアの働きが落ちる
-
エネルギー(ATP)産生が低下
という流れが起こる。
② エネルギー不足で神経が過敏になる
ATPが不足すると、
神経細胞の膜電位を安定させる仕組みがうまく働かなくなる。
その結果、
-
神経は「発火しやすい待機状態」になる
-
少しの刺激でも痛みとして感じやすくなる
つまり朝は、
神経が“過敏なスタンバイ状態”
になっている。
③ だから「ちょっと動いただけで痛い」
この状態で、
・起き上がる
・寝返りを打つ
・立ち上がる
・服が触れる
それだけで痛みが出やすくなる。
一方で、
動き続けると楽になる
という人が多いのも、
動くことで刺激・呼吸・酸素供給が回復し、
神経の条件が整ってくるためである。
なぜ朝の痛みは「異常なし」と言われやすいのか
朝の痛みで医療機関を受診すると、
「画像では問題ありませんね」
「年齢相応です」
と言われるケースは少なくない。
それは、朝の痛みが
骨や関節の変形ではなく、神経の“働きの条件”によって起きていることが多いためだ。
レントゲンやMRIは、
「構造」を見る検査であり、
「神経がどんな状態で働いているか」までは映らない。
そのため、
-
検査では異常なし
-
でも朝は確かにつらい
というズレが生じやすい。
このズレが、
「気のせいなのかもしれない」
「このまま付き合うしかないのか」
という不安につながっていく。
朝の痛みが長引く人・抜けていく人の違い
同じように朝つらくても、
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数十分で楽になる人
-
何時間経っても残る人
がいる。
この差は、
夜から朝にかけて、どれだけ神経の回復条件が整っているかで決まる。
例えば、
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呼吸が浅いまま眠っている
-
寝る直前までスマホを見ている
-
日中ほとんど身体を動かしていない
-
食事量や栄養が偏っている
こうした条件が重なると、
朝になってもATP産生が回復しきらず、
神経の過敏状態が長引きやすくなる。
朝の痛みは、
その日の問題ではなく、前日までの積み重ねの結果でもある。
朝痛い人が「やってはいけないこと」
朝の状態で、よくやってしまいがちなことがある。
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いきなり強く伸ばす
-
強く揉む・叩く
-
一気に動こうとする
神経が過敏な状態で強い刺激を入れると、
かえって痛みを助長しやすい。
朝の過ごし方|整えるポイントは3つだけ
① 小さく動かす(刺激)
可動域を広げる目的ではなく、
「動いている」という感覚を神経に入れる。
② 呼吸を深める(酸素)
胸郭を広げ、肩を上げずにゆっくり呼吸する。
③ 姿勢を起こす(重力)
座る・立つだけでも、
神経にとっては大きな刺激になる。
なぜアールカイロでは「朝の状態」を重視するのか
アールカイロでは、
「今どこが痛いか」だけでなく、
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朝どうか
-
動き始めはどうか
-
動いてからどう変わるか
を非常に重視している。
朝の状態には、
神経・呼吸・姿勢・代謝のすべてが集約されているからだ。
朝つらいが動くと楽になるのか。
それとも、動いても変わらないのか。
この違いは、
「どこに・どの順で・どんな刺激を入れるか」を判断する
重要なヒントになる。
朝の痛みは、
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年齢のせいでも
-
寝相のせいでもなく
神経が働く条件が一時的に崩れているサインであることが多い。
もし、
「朝が一番つらい」
「でも動くと少し楽になる」
そんな感覚があるなら、
身体はまだ変わる余地を残している。
そのサインを、見逃さないでほしい。
