四辺形間(しへんけいかんげき)症候群

肩の奥の痛み・腕のしびれが治らない

公開日:2016年9月29日

更新日;2026年5月25日

肩の奥が重い。
腕を上げると詰まる。
肩の後ろから腕の外側にかけて、しびれとも違う違和感がある。
湿布やマッサージを続けても、その場では少し楽になるだけで、また戻る。

病院では、

  • 五十肩
  • 肩関節周囲炎
  • 腱板の炎症
  • 異常なし

と説明されることがある。

もちろん、それらが原因のこともある。
しかし、画像に大きな異常がないのに、肩の奥の痛みや腕のしびれ感が続く場合、四辺形間隙症候群が隠れていることがある。

四辺形間隙症候群では、肩の後方にある狭い通路で腋窩神経が負担を受ける。
さらにそこには後上腕回旋動脈も通るため、神経の問題だけでなく、血流の問題も重なりやすい。

そのため、単なる肩の痛みとして扱うだけでは改善しきれないことがある。
大切なのは、肩だけを見ることではない。
首・胸郭・肩甲帯・上腕まで含めて、神経と血流が通りやすい環境を整理することである。

四辺形間隙症候群とは【結論】

四辺形間隙症候群とは、肩の後方にある四辺形間隙という通路で、腋窩神経が絞扼されることで起こる神経障害である。

四辺形間隙は、

  • 上方:小円筋(しょうえんきん)
  • 下方:大円筋(だいえんきん)
  • 内側:上腕三頭筋長頭(じょうわんさんとうきんちょうとう)
  • 外側:上腕骨

で囲まれた空間であり、この中を

  • 腋窩神経(えきかしんけい)
  • 後上腕回旋動脈(こうじょうわんかいせんどうみゃく)

が通過する。

そのため、この部位で負担が生じると、

  • 肩の奥の痛み
  • 上腕外側のしびれや違和感
  • 腕を上げた時の詰まり感
  • 肩後方の重だるさ
  • 血流低下による冷えや色調変化

といった症状が出ることがある。

重要なのは、肩だけの問題として見ないことである。
首や胸郭、肩甲帯、広背筋、姿勢や呼吸の条件が重なることで、四辺形間隙に負担が集まっていることも少なくない。

「また今日も、肩の奥が重い…」

四辺形間隙症候群でつらいのは、単に肩が痛いことだけではない。
どこに行っても原因がはっきりせず、何をしても戻る感じが続くことである。

  • 肩の奥が重い
  • 腕を上げると詰まる
  • 肩の後ろから腕の外側が変な感じになる
  • しびれというほどではないが違和感が続く
  • 夜になると気になりやすい
  • マッサージを受けてもすぐ戻る

しかも、

  • レントゲンでは異常がない
  • 五十肩と言われたが何か違う
  • 腱板損傷ほどはっきりしていない
  • でも日常生活では確かに困っている

という中途半端さがある。

そのため、自分でも

「気のせいかもしれない」
「まだ大丈夫かもしれない」
「でも、やっぱりおかしい」

という感覚を抱えたまま、長引いてしまうことがある。

肩の奥の違和感や腕の外側のしびれ感は、
画像に映る異常がないからといって、問題がないとは限らない。
見えていないのは、神経や血流の通り道の問題かもしれない。

よくある症状・具体例

四辺形間隙症候群では、次のような訴えが多い。

  • 肩の後ろ〜外側が痛い
  • 肩の奥が重だるい
  • 腕を上げると詰まる
  • 上腕外側にしびれや違和感がある
  • 投球動作や水泳で悪化する
  • 腕を外に開く・ひねると痛い
  • 夜になると症状が気になる
  • 長時間同じ姿勢で悪化する
  • 肩甲骨の後ろまで張る感じがある
  • 肩よりも腕の外側の感覚がおかしい
  • 物を取ろうとすると肩の奥が引っかかる
  • マッサージや注射をしても戻る

さらに、このページで重要なのは、「しびれ」と「しびれ感」は同じではないという点である。
 

■ ピリピリ・ジンジンする

→ しびれ

神経が過敏になり、通常よりも頻繁に電気信号を出している状態である。

  • 電気が走る感じ
  • 焼けるような違和感
  • 軽く触れただけでも気になる

といった表現になりやすい。
 

■ 感覚が鈍い・ぼんやりする

→ しびれ感

こちらは、神経の働きが低下し、感覚の情報がうまく脳まで届きにくくなっている状態である。

  • 触られても分かりにくい
  • 腕の外側だけ感覚が薄い
  • 力の入り方が不安定
  • なんとなく抜ける感じがある

といった訴えになりやすい。

医療機関ではこれらをまとめて「しびれ」と表現されることが多い。
しかし、体の中で起きていることは同じではない。
この違いを見誤ると、刺激量や施術方針がずれてしまう。

放置するとどうなるのか

四辺形間隙症候群を放置すると、最初は「肩の奥が重い」「腕の外側が少し変な感じがする」程度だったものが、徐々に日常生活全体に影響しやすくなる。

たとえば、

  • 腕を上げる動作を避けるようになる
  • 肩甲骨の動きが硬くなる
  • 首や肩の緊張が強くなる
  • 夜間の違和感が増える
  • 上腕外側の感覚異常が慢性化する
  • 血流障害が重なると冷えや色調変化が目立つことがある

といった流れで悪循環に入りやすい。

さらに重症化すると、

  • 三角筋の筋力低下
  • 腕を外に広げにくい
  • 肩が安定しない
  • 挙上時の不安定感

といった変化が出ることもある。

放置とは、ただ我慢することではない。
肩や腕をかばう動きが定着し、首や胸郭まで含めた全体の使い方が崩れていくことでもある。

なぜ改善しないケースがあるのか

改善しない最大の理由は、肩の奥の痛みが出ている場所だけを見て終わってしまうことである。

一般的には、

  • 肩後方をほぐす
  • ストレッチする
  • 注射を打つ
  • 安静にする
  • 肩甲骨トレーニングを行う

といった対応が行われる。

もちろん、それで軽くなるケースもある。
しかし、しばらくすると戻る。
あるいは、その場では軽くなっても安定しない。

その理由は4つある。
 

1. 肩後方だけ緩めても、首〜肩甲帯の上流問題が残る

四辺形間隙に負担が集まる背景には、頚椎・胸郭・肩甲帯の位置異常や動きの制限が関わることが多い。
上流が変わらなければ、肩後方だけ緩めても戻りやすい。
 

2. 強いマッサージが神経をさらに過敏にすることがある

神経がすでに過敏になっている状態では、強く押すこと自体が刺激になる。
その結果、

揉む → 少し楽 → また痛む

を繰り返し、神経の慢性化を助けてしまうことがある。
 

3. ダブルクラッシュ(頚椎〜四辺形間隙)が見落とされている

首側で神経機能が低下し、そのうえで四辺形間隙でも神経が負担を受けていると、症状は長引きやすい。
肩だけ見ても改善しない理由の一つがこれである。
 

4. ATP不足で神経・血管の回復条件が整っていない

神経も血管も、ただの構造物ではない。
回復には酸素と栄養、そしてエネルギーが必要である。
呼吸が浅い、血流が悪い、代謝が落ちている。
そうした状態では、揉んでも整えても戻りやすい。

四辺形間隙症候群が起きる仕組み

四辺形間隙症候群は、肩後方の狭い通路である四辺形間隙の中で、腋窩神経後上腕回旋動脈が負担を受けることで起こる。

四辺形間隙は、

  • 上方:小円筋
  • 下方:大円筋
  • 内側:上腕三頭筋長頭
  • 外側:上腕骨

で囲まれている。

この空間が、肩の使い方や周囲筋の緊張によって狭くなると、
腋窩神経の通り道が圧迫されやすくなる。
さらに、後上腕回旋動脈も一緒に通るため、神経症状だけでなく、血流障害が重なることもある。

その結果、

  • 肩後方〜上腕外側の痛み
  • 腕のしびれ感
  • 冷えや色調変化
  • 力の入りにくさ
  • 腕を上げた時の詰まり感

などが起こりやすくなる。

また、広背筋は大円筋を後方から巻き込みやすく、姿勢や体幹の崩れが続くと、四辺形間隙の周囲環境そのものを悪くしやすい。

なお、四辺形間隙に隣接する三頭筋裂孔では、
大円筋を天井、上腕三頭筋長頭を内側、上腕骨を外側、上腕三頭筋内側頭を床とする通路の中で、橈骨神経が負担を受けることがある。
症状が混在する場合は、四辺形間隙の腋窩神経なのか、隣接する三頭筋裂孔の橈骨神経なのかを見極めることが重要である。

見落とされやすいポイント

四辺形間隙症候群が見落とされやすい理由は3つある。
 

1. 五十肩・腱板損傷と症状が重なる

肩の奥が痛い、腕を上げるとつらい、夜に気になる。
この時点で、どうしても肩関節周囲炎や腱板損傷として扱われやすい。
しかし、四辺形間隙症候群では、肩の奥そのものよりも腋窩神経の通り道の問題が主であることがある。
 

2. 血管(PHCA)も通るため、血流障害が見落とされやすい

競合の多くは神経だけに触れている。
しかし実際には、後上腕回旋動脈も通っているため、
冷え、色調変化、循環不良感が重なっていても不思議ではない。
この視点がないと、神経症状だけでは説明しきれない違和感が整理できない。
 

3. 頚椎・広背筋という上流の影響が無視されやすい

肩の後方だけをほぐしても改善しないのは、上流の負担が残っているからである。
頚椎、胸郭、肩甲帯、広背筋まで含めて見ないと、四辺形間隙の狭さだけを追いかけることになる。

当院の施術の考え方

アールカイロでは、痛みやしびれをその場で抑え込むことではなく、
神経が通り、滑り、働きやすい環境を整えることを重視している。

四辺形間隙症候群では、症状が出ている肩の奥や上腕外側だけを見ても、原因が整理しきれないことが多い。
そのため当院では、首・肩甲帯・肩関節・上腕を一つの流れとして評価し、

  • 頚椎・胸郭・肩甲帯のアライメント
  • 神経・筋膜の滑走性
  • 呼吸の浅さ
  • 姿勢や重心の偏り
  • 肩甲骨と上腕骨の連動
  • 広背筋や小円筋・大円筋の緊張
  • 自律神経や循環の安定性
  • 回復を支える栄養や代謝の条件

を確認している。

そのうえで必要に応じて、キネシオテーピングを用いることがある。
これは固定のためではなく、
皮膚や筋膜、感覚入力を通じて、神経が過剰に反応しにくい状態をつくるためである。

施術では主にキネシオテーピングを用い、

  • 呼吸を整え、循環を促す
  • 弱い刺激で組織に負担をかけない
  • 24時間持続的に作用させる
  • 中枢の過剰な緊張を落ち着かせる

といったアプローチを行う。

その場だけを変えるのではなく、
日常生活の中でも回復しやすい状態を維持できることが特徴である。

目的は、
「どこかを強く変えること」ではない。
再び悪くなりにくい条件を、生活の中で整えていくことである。

なお、施術内容の詳細は症状や身体の状態によって異なるため、初回検査後に個別に説明している。

改善の可能性について

本当に変わるのか。
それは当然の疑問である。

これまでに湿布、注射、マッサージ、ストレッチなどを受けても、十分な変化を感じられなかった経験があれば、そう感じるのは無理もない。

しかし、変わらなかったのには理由がある。

四辺形間隙症候群では、肩だけを見ていても、本質的な改善に至りにくいことがある。
背景には、

  • 腋窩神経の滑走低下
  • 小円筋・大円筋・広背筋の緊張
  • 頚椎・胸郭・肩甲帯からの上流負担
  • 後上腕回旋動脈を含む循環低下
  • 神経が過敏になっている状態

といった複数の条件が重なっていることがあるからである。

そのため、肩を動かさない、局所だけをほぐす、といった対処では、しばらくして戻ってしまうことが少なくない。

改善しないのではない。
見ている場所と、整えるべき条件が一致していなかった可能性がある。

肩の奥が重い。
腕の外側が気になる。
夜になると違和感が強くなる。
そのような症状も、条件が整えば変化していく可能性は十分にある。

今は「もう仕方ない」と決める段階ではない。
評価の視点を変える段階である。

「肩だけの問題ではないかもしれない」と感じている方へ

肩の奥が痛い。
腕の外側に違和感がある。
異常なしと言われたのに、何かが残っている。

そのような場合、肩そのものではなく、
神経と血流の通り道を整理することが改善の糸口になることがある。

今の身体の状態を、もう一度きちんと整理してみてほしい。

当院の施術が合う可能性があるケース

  • 肩の奥の痛みが続いている
  • 腕の外側にしびれや違和感がある
  • 腕を上げると詰まる
  • 五十肩や腱板損傷と言われたがしっくりこない
  • 画像では異常なしと言われた
  • 夜間痛や安静時の違和感がある
  • 投球、水泳、反復挙上で悪化する
  • マッサージや注射で一時的に楽になるが戻る
  • 首や肩甲骨まわりのこりも強い
  • 冷えや色の変化も気になる
  • 一度きちんと原因を整理してほしい

医療機関での判断が必要なケース

  • 腕を上げること自体が難しくなっている
  • 外傷後から症状が出ている
  • 強い安静時痛が続く
  • 夜間痛が非常に強い
  • 冷えや色調変化が急速に悪化している
  • 血管病変や腫瘍が疑われる
  • 手術や精密検査が必要と言われている

院長より

 院長・菊池 竜

─「“原因が分からない症状”にも必ず意味がある」

これまで25年以上、のべ2万5千人以上のしびれや神経痛に悩む方に
関わってきました。

病院で「異常なし」と言われても続く違和感や、薬や注射では変わらなかった症状に向き合い、筋膜・神経・栄養・姿勢を統合して整えるアプローチを続けています。

「必ず治ります」とは言えませんが、身体が本来持つ回復力を引き出すことで、動きやすさを取り戻していく方は少なくありません。
一人ひとりの状態に合わせた最適なサポートを心がけています。

症例紹介

40代男性・投球動作あり

肩後方〜上腕外側の違和感が続き、投球後に強くなる。
五十肩ではないと言われたが、原因不明のまま長引いていた。
首・胸郭・肩甲帯を含めて調整し、肩後方の神経環境を整えたところ、数回で違和感が軽減。

 

50代女性

肩の奥の痛みと腕の外側のしびれ感。
腱板損傷を疑われたが、画像では決定的異常なし。
広背筋・小円筋・大円筋周囲の緊張と肩甲帯の偏りを整理し、循環を整えたことで夜間の違和感が大きく軽減。

※これは一例であり、すべての方に同じ結果を保証するものではない。

【症例紹介32】「腕がだるい」「指が動かしにくい」

——胸郭出口症候群と診断されたが、原因は“橈骨神経の圧迫”だったケース(40代男性・会社員)

【症例紹介36】床に座ると肩の後ろが重く痛む

—座位姿勢と腕の使い方が引き起こした四辺形間隙症候群(30代男性)

ストレッチで改善しますか?


一時的に軽くなることはありますが、神経が過敏な状態では強いストレッチが逆効果になることもあります。

まずは通り道の環境を整えることが大切です。

五十肩とどう違うのですか?

症状が重なる部分はありますが、四辺形間隙症候群では肩後方〜上腕外側のしびれ感や違和感が目立つことがあります。

神経と血流の通り道に注目する必要があります。

.冷える感じがあるのは関係ありますか?

はい。

後上腕回旋動脈も通るため、血流の影響が重なることがあります。神経だけでなく循環も含めて見る必要があります。

仕事や運動は続けても大丈夫ですか?

  状態に合わせて調整すれば可能なケースも多いです。

完全な安静より、負担のかかり方を整える方が重要なことがあります。

痛み止めは効きますか?

痛みの感じ方や神経の状態によって異なります。

必要に応じて医師と連携しながら判断することが大切です。

肩の奥の痛みや腕のしびれは、
肩そのものの問題だけでなく、
神経と血流の通り道に負担が積み重なった結果として出ていることがある。

画像に異常がない。
歩けるし動かせる。
だから様子見。
それだけで終わらせてしまうには、もったいないケースは少なくない。

もし今、

  • 原因が分からないまま違和感が続いている
  • 五十肩や腱板損傷だけでは説明しきれない
  • 肩の奥の重さや腕の外側の違和感が残っている

そのような状態なら、
まずは今の身体の状態を整理するところから始めてほしい。

※本ページは、現在の状態を理解するための参考情報です。
実際の評価や方針については、状態を確認したうえでご説明しています。

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院長ごあいさつ

菊池 竜

「私が最初から最後まで責任をもって対応します。」