膝の内側が痛い原因

― なかなか治らないときに考える半月板・靱帯以外の可能性―

公開日:2026年8月3日

歩くと膝の内側が痛い。

階段を下りるとズキッとする。

押すと痛い。

ピリピリする。

ズボンが触れるだけでも違和感がある。

このような「膝の内側の痛み」は、すべて同じ原因ではない。

半月板、靱帯、鵞足(がそく)を構成する腱、そして伏在神経など、膝の内側には複数の組織が集中している。

そのため、痛む場所だけではなく、「どのように痛むのか」を整理することが大切である。

膝の内側が痛い原因とは【結論】

膝の内側が痛いからといって、原因がすべて膝関節そのものとは限らない。

膝の内側には、

  • 関節
  • 半月板(関節のすき間にあるクッション)
  • 内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい)
  • 鵞足を構成する筋肉の腱
  • 伏在神経(ふくざいしんけい)

など、多くの組織が集まっている。

そのため、同じ「膝の内側の痛み」でも、原因によって痛み方や広がり方は大きく異なる。

特に、

  • MRIでは異常がないと言われた
  • 湿布や痛み止めを使っても変わらない
  • 鵞足炎と言われたが改善しない
  • 半月板と言われたが症状が一致しない

このような場合は、痛む場所だけではなく、どの組織に負担が集まっているのかを改めて整理する必要がある。

このような症状はないだろうか

膝の内側の痛みは、人によって現れ方が大きく異なる。

例えば、

  • 階段を下りると膝の内側が痛い
  • 歩き始めだけズキッとする
  • 長時間歩くと痛くなる
  • 痛くて正座ができない
  • 押すと一点だけ強く痛い
  • ピリピリした痛みがある
  • 焼けるような感じがする
  • ズボンが触れるだけでも嫌な感じがする
  • すねの内側まで違和感が広がる
  • MRIでは異常なしと言われた

このような症状はすべて「膝の内側の痛み」としてまとめられやすい。

しかし、その背景は必ずしも同じではない。

放置するとどうなるのか

初めは歩き始めだけだった痛みも、

  • 階段
  • 長時間歩行
  • 正座
  • 立ち上がり
  • 坂道

などでも痛むようになることがある。

さらに、無意識に痛みを避ける歩き方が続くことで、

  • 反対側の膝
  • 股関節
  • 足首

へ負担が移ってしまうことも少なくない。

また、長期間痛みが続くと、痛みを感じ取る神経が過敏になり、以前より弱い刺激でも痛みを感じやすくなることがある。

その結果、

「最初より痛む範囲が広くなった」

「触れるだけでも痛い」

という状態へ変化することもある。

なかなか改善しない理由

膝の内側の痛みに対して、

  • 湿布
  • 痛み止め
  • ストレッチ
  • マッサージ
  • インソール

などが行われることは少なくない。

これらによって一時的に楽になることもある。

しかし改善しないケースでは、

「膝だけ」

を見ていることが多い。

例えば、

鵞足炎だと思われていたものが、実際には伏在神経の刺激だった。

逆に、

神経だと思われていたものが、腱への負担だった。

ということもある。

さらに、

股関節の動きが硬くなり、

膝が代わりにねじれ、

鵞足部へ負担が集まり、

その周囲を通る伏在神経にも影響が及ぶ。

このように、痛みが出ている場所と、負担が生まれている場所は必ずしも一致しない。

そのため、膝だけを施術しても改善が続かないことがある。

膝の内側では何が起きているのか

膝の内側には、いくつもの組織が近い距離を保ちながら集まっている。

代表的なものとして、

  • 半月板(関節のすき間)
  • 内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい)
  • 鵞足を構成する縫工筋・薄筋・半腱様筋の腱
  • 伏在神経

がある。

そのため、同じ場所が痛くても、原因は一つとは限らない。

大切なのは、「どこが痛いか」だけではなく、「どのように痛むのか」を整理することである。

動作でズキッと痛む場合

歩く、階段を下りる、立ち上がるなど、膝を動かしたときだけ痛む場合は、

  • 半月板(関節のすき間)
  • 内側側副靱帯
  • 鵞足部の腱
  • 関節そのもの

などへ負担が集中している可能性が考えられる。

これらは、体重がかかるたびに引っ張られたり圧迫されたりするため、動作と痛みが一致しやすい。

押すと一点だけ痛む場合

押した場所だけが強く痛む場合は、鵞足部の腱に負担が集まっていることが少なくない。

鵞足は、

  • 縫工筋
  • 薄筋
  • 半腱様筋

という3つの筋肉の腱が集まる場所である。

これらの筋肉は、

  • 股関節
  • 骨盤

をまたいでいるため、股関節の動きや歩き方の影響を受けやすい。

そのため、痛い場所だけを揉んだり湿布を貼ったりしても、負担が集まる条件は残ったままになることがある。

ピリピリ・灼ける感じがある場合

一方で、

  • ピリピリする
  • 電気が走る感じ
  • 灼けるような痛み
  • 触れるだけで不快

このような症状がある場合は、伏在神経の関与も考える必要がある。

伏在神経は、大腿神経から枝分かれする感覚神経であり、太ももの内側を通って、膝からすね、足の内側まで感覚を担当している。

運動を担当する神経ではないため、伏在神経だけの障害では、明らかな筋力低下よりも、

  • ピリピリ感
  • 灼熱感
  • 感覚の鈍さ
  • 知覚過敏

として現れやすい。

すねの内側まで症状が広がる場合

痛みや違和感が、

膝の内側だけではなく、

すねの内側へ続いている場合は、

伏在神経の走行と一致することがある。

もちろん、それだけで神経が原因と決めつけることはできない。

しかし、

  • 腱だけでは説明しにくい広がり方
  • ピリピリ感を伴う
  • 触れるだけでも違和感がある

このような特徴が重なる場合には、神経も含めて評価する必要がある。

手術や打撲のあとに始まった痛み

伏在神経は膝の前内側で枝分かれするため、

  • 関節鏡手術
  • 人工膝関節手術
  • 靱帯再建術
  • 強い打撲

などのあとに影響を受けることもある。

傷そのものは治っていても、

周囲の瘢痕組織や皮膚の滑走が変化することで、神経が刺激を受けやすくなる場合がある。

鵞足炎と伏在神経の違い

膝の内側の痛みでは、

鵞足部の腱による痛みと、

伏在神経による痛みは似ている。

しかし、痛み方には違いがある。

鵞足部の負担

  • 動くと痛い
  • 押すと痛い
  • 比較的局所的
  • 腱の圧痛が中心

伏在神経の関与

  • ピリピリする
  • 灼ける感じ
  • 軽く触れても不快
  • すねの内側まで広がることがある
  • 感覚異常を伴うことがある

ただし、この二つは完全に別々とは限らない。

鵞足部へ負担が集まることで、周囲の神経環境にも影響が及び、両方が同時に関係していることもある。

痛む場所が変わる理由

「最初はここが痛かったのに、今度はこちらが痛い。」

このような経過をたどる人は少なくない。

新しいケガをしたと考えたくなるが、必ずしもそうとは限らない。

膝がわずかに不安定になると、

その動きを支えるために、

  • 半腱様筋(はんけんようきん)
  • 半膜様筋(はんまくようきん)
  • 縫工筋(ほうこうきん)
  • 薄筋(はっきん)

などが順番に負担を引き受けることがある。

そのため、

最初の痛みが軽くなったあとに別の場所が痛くなっても、

負担を支える筋肉が変わっただけということもある。

さらに、縫工筋や内転筋管周囲の緊張が変化すると、その近くを通る伏在神経が刺激を受けやすい環境になることも考えられる。

重要なのは、

「痛い場所が変わった」

ことではなく、

なぜ負担が移ったのか

を整理することである。

当院の施術の考え方

当院では、膝だけを見て施術方法を決めることはしない。

確認するのは、

  • 痛みの場所
  • 痛みの広がり
  • 動いたときの変化
  • 押したときの反応
  • ピリピリ感や灼熱感の有無
  • 股関節の動き
  • 骨盤の位置
  • 膝の安定性
  • 下腿のねじれ
  • 足部への荷重
  • 縫工筋・薄筋・ハムストリングスの状態
  • 神経が通る経路の環境

などである。

膝の内側だけに注目するのではなく、身体全体のつながりを確認し、どこに負担が集中しているのかを整理していく。

施術では、必要に応じてキネシオテーピングも活用する。

キネシオテーピングは固定するためのものではない。

皮膚や筋膜への穏やかな刺激を利用し、

  • 神経が働きやすい環境
  • 筋肉が働きやすい環境
  • 関節へ負担が集中しにくい状態

を24時間持続的に整えることを目的としている。

強い刺激で一時的に変えるのではなく、日常生活の中でも身体が回復しやすい条件をつくることを大切にしている。

改善の可能性について

膝の内側の痛みは、痛む場所だけを追いかけていても改善が続かないことがある。

しかし、

どこへ負担が集まっているのか、

なぜそこに負担が集中しているのか、

を整理できると、変化のきっかけが見えてくることがある。

例えば、

  • 階段の昇り降りが楽になる
  • 長く歩けるようになる
  • 正座がしやすくなる
  • 歩き始めの痛みが減る
  • ピリピリ感や灼熱感が軽くなる
  • ズボンが触れる違和感が少なくなる
  • 立ち仕事の後の負担が減る

といった変化が期待できる場合がある。

もちろん、必要な期間や改善の過程は一人ひとり異なる。

外傷による損傷や、手術が必要な状態では、まず医療機関での治療が優先される。

一方で、

検査では大きな異常が見つからない。

治療を受けているのに改善しない。

何度も同じ場所が痛くなる。

このような場合には、身体全体の使い方や神経・筋肉の働きを整理することで、新たな改善の糸口が見つかることもある。

当院の施術が合う可能性があるケース

次のような方は、一度評価する価値がある。

  • MRIでは異常なしと言われた
  • 鵞足炎と言われたが改善しない
  • 半月板損傷と言われたが症状が一致しない
  • ピリピリ感や灼熱感がある
  • ズボンが触れるだけでも違和感がある
  • 手術後から膝の内側に違和感が残っている
  • 歩くたびに痛む場所が変わる
  • すねの内側まで症状が広がる
  • 湿布や痛み止めでは改善しない
  • 膝だけ治療しても繰り返してしまう

膝の内側には多くの組織が集まっている。

そのため、どこが悪いかを決めつけるのではなく、痛み方や身体全体の動きから整理していくことが大切である。

医療機関での確認を優先した方がよい場合

膝の内側の痛みの中には、まず医療機関での評価を優先すべきものもある。

次のような場合は、整形外科などで画像検査や神経学的評価を受けることを勧める。

  • 転倒やスポーツ外傷のあとから強く痛む
  • 膝が大きく腫れている
  • 熱感や発赤が強い
  • 発熱を伴う
  • 膝が伸びない、曲がらない
  • 膝が引っ掛かって動かない
  • 体重をかけられない
  • 膝が大きくぐらつく
  • 手術後から急激な感覚異常が続いている
  • しびれが急速に広がっている
  • 安静にしていても強い痛みが続く

当院は医療機関ではないため診断は行わない。

 

ただし、医療機関での評価が必要と考えられる場合には、受診を勧めている。

症例のご紹介

60代女性・立ち仕事

数か月前から膝の内側に痛みが続き、鵞足炎として治療を受けていたが改善せず来院。

歩行時の痛みに加え、膝の前内側からすねの内側にかけてピリピリした違和感があり、軽く触れただけでも不快感がみられた。

評価では、股関節の動きが硬く、歩行時に膝へねじれが生じやすい状態であった。また、縫工筋周囲の緊張や伏在神経が通る周囲の環境にも負担が認められた。

膝だけでなく、股関節や下腿の動きを含めて身体全体を調整し、キネシオテーピングを併用したところ、歩行時の違和感が徐々に軽減し、立ち仕事後の負担も少なくなった。

 

※これは一例であり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。

院長より

院長・菊池 竜

─「“原因が分からない症状”にも必ず意味がある」

これまで25年以上、のべ2万5千人以上のしびれや神経痛に悩む方に関わってきました。
病院で「異常なし」と言われても続く違和感や、薬や注射では変わらなかった症状に向き合い、筋膜・神経・栄養・姿勢を統合して整えるアプローチを続けています。

 

「必ず治ります」とは言えませんが、身体が本来持つ回復力を引き出すことで、動きやすさを取り戻していく方は少なくありません。
一人ひとりの状態に合わせた最適なサポートを心がけています。

この痛み、検査で整理したい

よくある質問

鵞足炎と伏在神経障害はどう違うのですか?

鵞足炎は、主に腱へ負担がかかることで起こるため、動作時の痛みや押したときの圧痛が中心になります。

一方、伏在神経が関係する場合は、ピリピリ感や灼熱感、触れただけで不快になるなど、感覚異常が目立つことがあります。ただし、両者が同時に関係している場合もあるため、痛み方や広がり方を含めて評価することが大切です。

MRIで異常がありませんでした。それでも痛みが出ることはありますか?

あります。

 MRIでは半月板や靱帯などの大きな異常は確認できますが、筋肉や腱への負担、神経の働きや皮膚・筋膜の滑走などは画像だけでは判断できません。画像所見と症状が一致しないことも少なくありません。

 

ピリピリするだけでも神経が原因ですか?

必ずしもそうではありません。

しかし、ピリピリ感や灼熱感、触れたときの過敏さ、すねの内側まで広がる症状などがある場合は、伏在神経を含めた神経の関与も考える必要があります。

股関節が原因になることもありますか?

あります。

股関節の動きが硬くなると、身体をひねる際に膝が代わりに回旋することがあります。その結果、鵞足部の腱や膝の内側へ負担が集中しやすくなるため、膝だけではなく股関節や骨盤の動きも確認することが大切です。

ストレッチを続けた方がいいですか?

当院ではストレッチを勧めていません。

炎症や神経の過敏さがある状態では、強く伸ばすことでかえって刺激が増える場合があります。状態を確認したうえで、その方に合った方法を選ぶことが大切です。

キネシオテーピングは固定するためのものですか?

 いいえ。

キネシオテーピングは関節を固定することが目的ではありません。皮膚や筋膜への穏やかな刺激を利用し、神経や筋肉が働きやすい環境を整え、日常生活の中でも身体が回復しやすい状態を目指します。

膝の内側が痛いからといって、原因がすべて半月板や靱帯とは限らない。

膝の内側には、

  • 半月板
  • 靱帯
  • 鵞足を構成する腱
  • 伏在神経

などが集まっているため、痛み方や広がり方によって背景は異なる。

当院では、膝だけを見るのではなく、

  • 股関節
  • 骨盤
  • 下腿のねじれ
  • 足部への荷重
  • 神経の通り道
  • 筋肉や筋膜の状態

まで含めて評価し、どこに負担が集中しているのかを整理している。

膝の内側の痛みがなかなか改善しない場合は、痛む場所だけではなく、「なぜそこに負担が集まっているのか」という視点から見直すことが改善への第一歩になることがある。

※本ページは、症状や原因を理解するための参考情報である。
実際の評価や施術方針については、状態を確認したうえで個別に説明している。

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