― THE INSPIRE第2回で学んだ「身体のつながり」と見立て ―
先日、総合保証型セミナー「THE INSPIRE」第2回に参加してきました。
今回の大きなテーマは、
「身体はつながっている。しかし、何でもかんでも全部つながっていると雑に考えてはいけない」
ということでした。
最近は「筋膜」という言葉を耳にする機会が増えています。
筋膜は、筋肉や内臓、皮膚、骨などを包み込み、身体全体をつなげている組織です。
そのため、よく「筋膜は全身につながっている」と言われます。
これは間違いではありません。
ただし、今回の講義で強調されていたのは、
実際にどこまで影響しているのかを確認することの大切さ
でした。
腕を動かしたからといって、必ず足首まで影響するわけではありません。
手首を動かしただけで、毎回膝が悪くなるわけでもありません。
身体はつながっています。
しかし、そのつながり方は人によって違い、動作によっても変わります。
だからこそ、ただ「全身がつながっているから」と決めつけるのではなく、実際に見て、触れて、動かして、どこまで影響しているのかを確認する必要があります。
一般的には、筋肉が縮み、腱を介して骨が引かれ、関節が動くと説明されます。
もちろんこれは正しい説明です。
ただ、実際の身体では、それだけではありません。
筋肉が動くと、その周囲にある筋膜も引かれます。
筋膜の張力が、身体全体の動きに影響します。
腕を上げる、身体をひねる、歩く、踏ん張る。
こうした動きは、ひとつの筋肉だけで行われているわけではありません。
筋膜のゆとり、皮膚感覚、体幹の圧力、重心の位置、呼吸などが組み合わさって、ひとつの動作になります。
だから、筋肉だけを見ると見落とすことがあります。
「筋肉が硬いから揉む」
「関節が硬いからストレッチする」
もちろん必要な場合もあります。
しかし、筋膜のどこかが引っかかり、身体の力の伝わり方が乱れていることで、痛みや動きにくさが出ていることもあります。
同じ刺激でも、人によって効く深さが違う
今回の講義で特に印象的だったのが、
テープ刺激の深さ
です。
同じ場所にテープを貼っても、反応する深さは人によって違います。
皮膚の表面にごく軽い刺激が入るだけで身体が変わる人もいます。
一方で、もう少し深い層まで刺激が入らないと変化しにくい人もいます。
これは一般の方にわかりやすく言うと、
敏感な身体の人と、刺激に鈍い身体の人では、必要な施術刺激が違う
ということです。
敏感な人に強い刺激を入れると、身体はかえって緊張します。
反対に、鈍い人に弱すぎる刺激を入れても、身体は反応しにくい。
つまり、施術では
「強く押せばよい」
「弱ければ安全」
という単純な話ではありません。
その人の身体が、どのくらいの刺激を受け入れられるのか。
どの深さに問題があるのか。
どの方向に皮膚や筋膜が引かれているのか。
そこを見極めることが大切です。
特に、しびれや神経痛がある方は、神経が過敏になっていることもあります。
そのような状態で強すぎる刺激を入れると、かえって身体が警戒してしまう場合があります。
だからこそ、刺激の強さや深さを丁寧に見極める必要があります。
腹圧は、股関節や腰にも関係する
今回の講義では、股関節の動きが悪い方の臨床例も紹介されました。
一見すると、股関節そのものの問題に見えます。
しかし、実際に重要だったのは、股関節ではなく
下腹部の圧力
でした。
お腹の圧が高くなり、下腹部が張っていると、股関節の動きが悪くなることがあります。
この場合、股関節を無理に開いたり、ストレッチしたりするだけでは変わりにくい。
お腹まわりの状態を整えることで、股関節が動きやすくなることがあります。
つまり、
股関節が硬い原因が、股関節そのものではなく、お腹の圧や内臓の下垂にあることがある
ということです。
腰や股関節の症状でも、お腹や呼吸、横隔膜を確認する理由はここにあります。
肋骨・横隔膜は、首や肩にも影響する
首が倒しにくい。
肩が上がりにくい。
頭の付け根がつらい。
このような症状でも、首だけが原因とは限りません。
肋骨が上がっていたり、胸郭の圧力が高くなっていたり、横隔膜がうまく動いていないと、首や肩の動きに影響します。
特に、鎖骨の上のくぼみが少ない方は、胸郭や肋骨まわりの圧力が高くなっている可能性があります。
この場合、首を揉んでも一時的に楽になるだけで、また戻ってしまうことがあります。
必要なのは、首だけではなく、
呼吸
肋骨
胸郭
横隔膜
腹圧
まで含めて見ることです。
アールカイロで、肩や首の症状でもお腹や肋骨、呼吸を確認するのはこのためです。
病名よりも、今の身体の状態を見る
講義では、複数の病歴を持つ方の臨床例も紹介されました。
病歴はとても大切です。
危険なことを避けるためにも、必ず確認しなければなりません。
ただし、施術で見るべきなのは病名そのものだけではありません。
今この身体で、
どこに圧力が高いのか。
どこで流れが滞っているのか。
どこで筋膜が引っかかっているのか。
どの動きが制限されているのか。
どの刺激なら身体が受け入れられるのか。
ここを見る必要があります。
病名は大切な情報です。
しかし、実際に改善の入口になるのは、今の身体の状態です。
ナビがあっても、現在地がわからなければ目的地には着けません。
施術も同じです。
痛い場所だけを追いかけない
今回の講義を通して、改めて感じたのは、アールカイロで大切にしている考え方と深く重なるということです。
肩が痛いから肩だけを見るわけではありません。
股関節が硬いから股関節だけを見るわけではありません。
首がつらいから首だけ揉むわけではありません。
しびれがあるから神経だけを見るわけではありません。
痛みやしびれは結果です。
その背景には、
呼吸の浅さ
横隔膜の緊張
腹圧の偏り
肋骨や胸郭の硬さ
筋膜の引っかかり
皮膚感覚の過敏さ
神経の警戒状態
が隠れていることがあります。
だからこそ、痛い場所だけを追いかけるのではなく、
なぜそこに症状が出る状態になったのか
を見る必要があります。
まとめ
総合保証型セミナー「THE INSPIRE」第2回では、筋膜・皮膚感覚・腹圧・横隔膜を通して、身体をより深く見立てるための学びがありました。
身体はつながっています。
しかし、何でも全部つながっていると雑に考えるのではなく、実際にどこまで影響しているのかを確認することが大切です。
痛みやしびれがある場所だけを見るのではなく、
なぜそこに症状が出る状態になったのか。
ここを見ることで、改善の入口が見えてきます。
まだ治らないとあきらめていない方ほど、
「どこが悪いのか」だけではなく、
今の身体がどんな状態になっているのか
を見直すことが大切です。
アールカイロでは、これからも学びを重ねながら、
一人でも多くの手足のしびれや神経痛で困っている方の力になれるよう、臨床に活かしていきます。
