実際に貼って確かめながら、臨床での使い方を学んできた

毎月第一日曜日恒例のキネシオテーピングスーパートレーニング講座に参加してきた。
今回の講義も、一般向けに販売されているテーピング本の内容を土台にしながら、実際にその場で貼ってみて、身体がどう変わるのかを確認し、さらに臨床でどう応用するかを深めていく内容であった。

この形の学びは非常に重要である。
なぜなら、本に書かれている方法はあくまで入口としては有用である一方で、実際の身体は本ほど単純ではないからである。

同じ首の痛みでも、肩の重さが影響していることもあれば、お腹まわりの張りや体幹の圧力が影響していることもある。
同じ腰の不調でも、背骨まわりの動きの問題が中心のこともあれば、前側の張りや圧力が主な原因になっていることもある。
同じ太ももの裏の張りでも、筋肉そのものの問題なのか、皮膚や筋膜の張りつきの問題なのかで、考え方は変わる。

つまり、本に書いてある方法をそのまま貼れば全員に同じように効くわけではないのである。

今回の講義でも、まさにそこが繰り返し確認されていた。
背骨の近くにテープを貼る方法ひとつ取っても、貼った直後に動きが良くなる場面もあれば、逆に動きが止まる場面もあった。
腰まで縦に貼ることで変化が出ることもあれば、その貼り方では合わず、一部を外した方が動きやすくなることもあった。
つまり、形だけ見れば同じような貼り方でも、実際の反応は人によって違うのである。

この「違い」を見ずに、
「本にそう書いてあるから」
「習った通りだから」
という理由だけで進めてしまうと、良い結果が出ることもある一方で、合わない人には逆効果になる可能性もある。
だからこそ、貼る前と貼った後で何が変わったのかを、その都度きちんと確認することが大切なのである。

今回、特に印象的だったのは、背骨まわりへのやさしい刺激でも、身体がかなり変わることを改めて実感できたことである。
強く押す、強く引っ張る、大きな矯正を加える。
そうした刺激がなくても、軽く触れる、やさしく刺激する、適切にテープを置く。
それだけでも、力の入り方や動き方が変わる場面があった。

実際に講義の中では、テープを貼る前と後で、

  • 力の入りやすさが変わる
  • 前屈のしやすさが変わる
  • 足の上がり方が変わる
  • 体の引っかかり感が減る

といった変化がその場で確認されていた。
これは頭で理解するのと、実際に体で見るのとでは大違いである。
やはり、実際に貼って、変化を見て、体感することには大きな価値がある

一方で、今回の講義では「隙間を作ればそれでよいわけではない」という点も非常に勉強になった。
キネシオテープはよく、皮膚を持ち上げる、隙間を作る、流れを良くする、という説明がされる。
それ自体は間違いではない。
しかし、実際には、隙間を作ったことで逆に不安定になるケースや、緩めたことで力が入りにくくなるケースもあり得る。
つまり、何でも緩めればよいわけではないのである。

必要なのは、
どこを緩めるべきか。
どこを支えるべきか。
どこは動かした方がよいのか。
どこは行きすぎを止めた方がよいのか。
そこを見極めることである。

首や肩の不調でも同じである。
前に出すぎている首に対して、さらに前へ行きやすくするだけでは、かえって不安定になることがある。
その場合は、前に行きすぎないように支えを作る方がよいこともある。
腰や背中でも同様で、後ろの引っかかりだけを追うのではなく、前側の張りや圧力を見た方が話が早いこともある。
この視点は、現場では非常に重要である。

また、太ももの裏、いわゆるハムストリングスの考え方も興味深かった。
前ももの筋肉と違って、太ももの裏は日常動作や歩行、走行の中で伸ばされやすい。
そのため、単純に「硬いからもっと伸ばす」「筋肉だから筋肉テープで補強する」と考えると、うまくいかない場合がある。
表面が張りついているのか、皮膚や筋膜にゆとりがあるのか、環境を整えた方がよいのか。
そうした見方が必要であることを、実際の反応を通じて学ぶことができた。

今回の講義で改めて感じたのは、テーピングは単なる「貼り方の技術」ではないということである。
大事なのは、どこに重さがかかっているのか、どこに圧力が集まっているのか、どこが張りついているのか、どこが動きすぎているのかを見て、その人の身体に合わせて使い分けることである。

そしてもうひとつ大事なのは、実際に貼って効果を確認し、自分の感覚だけで終わらせないことである。
貼る側だけが「効いているはず」と思い込むのではなく、貼られた側の身体に何が起きているのかを確認する。
この積み重ねが、テーピングの精度を上げ、臨床での再現性を高めていくのだと思う。

アールカイロでも、手足のしびれや神経痛、首・肩・腰の不調に対して、痛い場所だけを追いかけるのではなく、身体全体のつながりを見ながら施術を行っている。
今回の学びも、そうした日々の臨床に直結する内容であった。

一般向けの本に載っている方法は、確かに入口として大きな意味がある。
しかし、本当に大切なのは、その知識を現場でどう使うかである。
実際に貼って、実際に確かめて、実際の身体の反応から学ぶ。
その積み重ねがあってこそ、技術は「知識」から「使えるもの」へ変わっていく。

今後も、来てくださる方の期待に一人でも多く応えられるように、こうした学びを臨床に還元していきたい。

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