なぜ同じ場所ばかり痛くなるのか
「何度治療しても同じ場所が痛くなる」
「その場では楽になるのに、数日すると元に戻ってしまう」
このような経験は珍しくない。
実は、このような症状では
痛みが出ている場所だけを治療している
ことが少なくない。
しかし、本当に見るべきなのは、
「痛みがある場所」ではなく、「なぜそこだけに負担が集中したのか」
である。
この違いを理解すると、なぜ治療を繰り返しても再発する人がいるのか、その理由が見えてくる。
なぜ痛みが出ている場所が原因とは限らないのか
痛みが出ている場所は、症状が現れている場所である。
しかし、それが症状を作り出した原因とは限らない。
例えば肩が痛い場合でも、
肩そのものだけに問題があるとは限らない。
肩を動かしている筋肉は、肩だけについているわけではない。
首・胸郭・肩甲骨・背中・体幹・骨盤まで互いに影響し合いながら働いている。
そのため、
呼吸が浅くなったり、
胸郭が硬くなったり、
肩甲骨の動きが悪くなったりすると、
最終的に肩へ負担が集中し、痛みとして現れることがある。
つまり、
肩の痛みは原因ではなく、結果である場合がある。
「直接原因」と「根本原因」は何が違うのか
身体の原因は、大きく二つに分けて考えられる。
一つ目は直接原因である。
これは実際に痛みやしびれを出している筋肉・腱・靭帯・神経・関節などを指す。
ここへ負担が集中すると、痛みやしびれが現れる。
一方で根本原因とは、
「なぜその組織だけに負担が集中したのか」
という背景である。
例えば
- 呼吸が浅い
- 胸郭(肋骨まわり)が動かない
- 肩甲骨の動きが悪い
- 体幹が安定していない
- 骨盤のバランスが崩れている
- 血流や神経の働きが低下している
こうした問題が積み重なった結果、
最後に肩や腰、手首などへ負担が集中する。
つまり、
直接原因を作り出しているものこそが根本原因である。
雨漏りを考えると分かりやすい
家の天井から水が落ちてきたとする。
床を何度拭いても、
屋根の穴を直さなければ、
また雨が降れば同じ場所が濡れてしまう。
床に落ちた水は直接原因。
屋根の穴は根本原因である。
身体も同じである。
肩だけを繰り返し治療しても、
肩へ負担を集めている原因が残っていれば、
時間が経てば再び同じ症状が現れやすくなる。
スポーツ障害でも同じことが起きているのか
野球・テニス・バレーボールなど、
肩を繰り返し使うスポーツでは、
「使いすぎ」が原因と言われることが多い。
もちろん、それも一つの要因である。
しかし実際には、
- 呼吸が浅い
- 胸郭が硬い
- 肩甲骨が十分に動かない
- 体幹が安定しない
このような状態で投球やスパイクを繰り返せば、
最後に悲鳴を上げるのは肩である。
つまり、
肩は被害者であり、
本当の原因を作っている場所ではないことも少なくない。
肩だけを休ませても、
根本原因が残っていれば、
競技へ復帰した後に再び同じ場所を痛めやすくなる。
だからこそ、
スポーツ障害でも肩だけを見るのではなく、
身体全体を評価することが重要になる。
手のしびれや坐骨神経痛も同じなのか
手根管症候群と診断された場合でも、
評価してみると
- 前腕の緊張
- 首の動き
- 肩甲骨の可動性
- 呼吸の浅さ
などが関係していることは珍しくない。
手首は痛みやしびれを出している場所であっても、
そこへ負担を集めた原因が別に存在している場合がある。
坐骨神経痛も同様である。
腰だけを繰り返し施術しても改善しないケースでは、
股関節、
骨盤、
体幹、
呼吸、
腹圧、
血流など、
さまざまな要素が神経へ負担をかけ続けていることがある。
この状態で腰だけを施術しても、
一時的には楽になっても再発を繰り返しやすい。
なぜ痛い場所以外まで評価するのか
「肩が痛いのに、なぜ骨盤や足まで検査するのですか?」
このような質問を受けることがある。
理由は単純である。
根本原因は、
痛い場所とは別の場所に存在することが少なくないからである。
肩の症状であっても、
呼吸、
胸郭、
肩甲骨、
体幹、
骨盤、
下肢の働きが、
肩への負担を生み出していることがある。
逆に言えば、
根本原因を整えることで、
肩へ強い刺激を加えなくても症状が変化していくこともある。
身体は一つの場所だけで動いているわけではない。
それぞれの部位が連動しながら働いている。
だからこそ、
「どこが痛いか」だけではなく、
「なぜそこへ負担が集中したのか」
まで評価することが重要なのである。
まとめ
