【症例紹介6】自然に治ると思っていた腰の痛み──実は“隠れた椎間板の問題”が原因だった一例（20代男性）

「またいつもの腰痛かな。しばらくすれば治るだろう」
「重いものを持って痛くなったけど、寝れば良くなると思っていた」

でも、痛みが“思ったより長引く”。

今回は、“筋肉のこわばりの裏に隠れていた本当の原因”を見つけた症例をご紹介します。

• 患者：20代・男性・自営業（重い物を扱う仕事）

• 主訴：右腰の痛み（特に立ち上がりや重い物を持つ時）

• 経過：

  • 2週間前に重い物を持った後から痛みが出現し、徐々に悪化

  • 寝ている・歩いている時は気にならないが、
    　長時間座った後や前かがみ・起き上がる動作で痛みが強い

「去年も似たような痛みがあって、その時は放っておいたら治ったんです。
今回もそうだと思ってたけど、全然良くならなくて…」

検査・触診により以下を確認：

• 右腰方形筋・左腸骨筋に明確な張り・圧痛・機能低下

• 腰椎の可動域低下と、筋膜の癒着反応あり

当初の見立ては、筋筋膜性腰痛（腰方形筋の痙攣）。
しかし治療中の反応から、本質的な原因は“椎間板の損傷”にあると再評価。

筋肉が悪いように見えて、
実は「本当の痛みを避けようとした結果の過緊張」だった──
そんな“構造の反応”を見逃さない視点が重要でした。

「張っている筋肉をゆるめる」だけでなく、
「なぜそこが張らざるを得なかったのか」を解くアプローチへ。

1. 右腰方形筋と左腸骨筋にキネシオテーピング＋筋スラッキング療法
   　→ 張り・圧痛の軽減／左右の側屈痛が改善

2. 腰椎2ヶ所の歪みを矯正／骨盤のねじれ補正
   　→ 中心軸の再調整により、力の逃げ場を確保

3. マッケンジーエクササイズ＋キネシオテーピングで椎間板を減圧誘導
   　→ 屈む動作時の痛みがほぼ消失

「立ち上がる時の怖さがなくなりました」
「自分でも“これは違うな”って分かるくらい感覚が変わりました」

 

初回での大きな改善は、
“痛いところ”ではなく、“働きすぎていた理由”に目を向けたからこそ得られた変化でした。

• 根本原因は「腰椎椎間板症」である可能性が高く、
  　放置すると将来的に椎間板ヘルニア→神経圧迫→足のしびれにつながるリスクあり

• 今後の対策：

  1. 椎間板圧のコントロール（マッケンジー体操の継続）

  2. 歪みを生む生活姿勢・物の持ち方の見直し

  3. 背骨全体（特に胸椎）の連動性サポート

「一時的に痛みを取る」ではなく、
「再発しない体の軸を再構築する」ことが、今回の最大のテーマです。

自己判断で放っておくと、構造はどんどん防御的に固まり、
いつか“痛みだけでは済まない領域”に入ってしまうかもしれません。

「いつもの腰痛とちょっと違う」
そう感じたときこそ、
“体が出しているヒント”を丁寧に見てあげるタイミングかもしれません。