【症例紹介3】右手のしびれと腕の痛み。整形とリハビリでは改善しなかった“頸椎の神経圧迫”の正体

• 患者：40代・男性・自営業

• 生活習慣：長時間の座位作業が多い

• 主訴：

  • 右肘〜親指・人差し指の甲側にピリピリしたしびれ

  • 上を向いたとき、特に左上を向くと右脇や腕に強い痛み

  • 過去に背中全体が激しく張ったことがあり、その後からしびれが持続

1か月前に整形外科で「頸椎4-5番の狭窄」と診断され、リハビリと薬物療法を受けるも効果なし。
「自然に治るかと思っていたが悪化した」として当院に来院。

主な検査所見

• 握力：右で明らかな低下あり

• 触診：右首〜肩の張り／腕の付け根後ろ側に圧痛としびれ再現

• 筋力低下：
  　- 首〜肩：肩甲挙筋・棘上筋
  　- 腕の付け根：大円筋

総合的な見立て

頸椎4-5番の右側狭窄による神経根圧迫
＝ 頚椎症性神経根症（けいついしょうせいしんけいこんしょう）

首から手先へ向かう神経が圧迫され、しびれや痛みが生じている状態。

• 頸椎矯正（5-6番）＋運動療法（ウィリアム体操）
  　→ 上を向いた時の痛みが大幅に軽減

• 大円筋・肩甲挙筋へのキネシオテーピング＋筋スラッキング
  　→ 握力が回復／しびれは通常時ほぼ消失

• 関節可動域検査でも明らかに改善し、上を向いてもしびれは「少しだけ」出る程度にまで改善

このケースの重要ポイントは、直接の首の問題だけではないということ。

• 長時間の座位姿勢で右肩が下がる

• その状態での手の使い方や負荷により、肩甲挙筋が引き伸ばされ、首が右に引っ張られる

• 結果として、首の骨が歪み、神経が圧迫された

「手のしびれは、実は“手”ではなく“肩〜首の連動エラー”が原因だった」

• 再発予防のための提案
  　1. 右手の使い方・姿勢習慣の見直し
  　2. 未調整の胸椎・腰椎の矯正で全身バランスの安定
  　3. 筋膜・関連筋の調整による歪みの根本修正
  　4. ご自宅での運動療法（ウィリアム体操）を継続

• セルフケア指導
  　- 座位姿勢の改善（片側重心・前傾姿勢の回避）
  　- 肩・首のストレッチや深呼吸なども併用

それは“原因を正しく見立てられていない”だけかもしれません。

今回のように、首・肩・腕・手と“つながり”で起きている不調は、
どこか1か所だけを見ていても改善しないのが現実です。

早期対応で、神経が完全に損傷する前に手を打てたことが改善につながりました。