キネシオテーピング・スーパートレーニングセミナー参加記
なぜこのセミナーに参加したのか
通院してくださるすべての方に「ここに来てよかった」と思ってもらえるように。
痛みや不調を“その場しのぎ”ではなく、できるかぎり根本から整えるために。
——そんな信念を胸に、私は今も学び続けています。
しかし正直な気づきもありました。
「根本改善」という響きは、あまりにも軽々しく使われすぎていると。
学べば学ぶほど、その奥深さと距離の遠さを痛感します。
それでも学び続けることをやめない。
難しいからこそ、学ぶ意味がある。
今回のセミナーも、そうした問いの延長線で臨んだ時間でした。
印象に残った言葉:「貼る」とは“関係性”を築くこと
講師は、キネシオテーピング協会の岡根会長。
その多彩な経験に裏打ちされた言葉は、ひとつひとつが示唆に富んでいます。
「テープの練習をしても、“痛い人の体”を見ていなきゃ意味がない」
健康な皮膚に貼っているだけじゃ、本当の“手当て”にはならない。
岡根会長の厳しい指摘は、まさに“関係性の設計”そのもの。
貼る技術はもちろん、痛みや不調と向き合う姿勢がそのまま手元に現れるという指摘が胸に迫りました。
皮膚と関節の「隙間」を読む|六角形を整える感覚

今回のセミナーでは、皮膚の“たるみ”と関節の“隙間”という微細な視点に光が当てられました。
特に鮮烈だったのは、「皮膚表面の六角形構造」を整えるというアプローチ。
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皮膚が伸びている部位には、そっと寄せるように貼る
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関節の隙間が広がりすぎている部位には、支えるように貼る
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皮膚のパターンを“編み直すように”整えることで、内側のバランスも変化していく
これは筋肉ではなく“皮膚そのもの”に着目した貼り方。
力任せではなく、体に“思い出させる”テーピングと言える、新たな手当ての感覚でした。
痛みの場所ではなく、“起点”に貼るということ
いかなる部位でも共通していたのは、
「痛いところに貼る」ではなく、「流れの起点に貼る」という視点です。
岡根会長も強調していました:
「筋肉テープは必ず関節を超える。
その“超え方”が違うだけで、効果は変わる」
つまり、貼る“位置”よりも“向き”や“流れを通す設計”。
体内のバランスを読み取り、必要な場所に必要な角度で貼るという判断力が、
施術者としての質を決定づけると感じます。
最後に、自分自身への問いとして
テーピングは、貼れば即座にすべてが治る魔法ではありません。
しかし、貼ることで“体が本来の状態を思い出す”手助けはできると信じています。
六角形のしわ、皮膚の張力、関節の隙間、重力のかかり方。
そうした細部に目を向け、感じ取り、そっと寄せること——
それが「整える」という行為の本質なのです。
だから私はこれからも、
「なぜそこに貼るのか?」という問いを持ちながら、
一本一本のテープに“思考と敬意”をこめて貼り続けていきます。