公開日:2016年7月13日
更新日:2025年9月4日
そんな悩みを抱えていませんか?
実はその痛み、「神経が圧迫されているから」だけでは説明がつかないケースが非常に多くあります。
圧迫=症状の原因ではない。
本当の鍵は、「神経の酸素や栄養の状態」と「脳の神経制御(抑制力)」にあります。
前、中斜角筋と神経(黄)
※○内が圧迫され所
前、中斜角筋と血管(動脈:赤/静脈:青)
※○内が圧迫され所
斜角筋(前・中・後)は、首の前側で呼吸・姿勢に関与する重要な筋肉。
頚神経叢や腕神経叢、鎖骨下動静脈がこの筋肉の間を通るため、斜角筋の過緊張が神経・血管に影響しやすい。
しかし、同じように圧迫されていても症状が出る人・出ない人がいる。
その違いを生むのが、以下の要因です:
慢性炎症によるヒスタミンやATPの漏出 → 神経の過敏化
不安・恐怖などの情動ストレス → 脳の抑制力低下
自律神経の乱れ・姿勢・呼吸の影響
上を向いたり、首を回したときの腕のしびれ・だるさ
洗濯物を干す動作で手がしびれる
寝起きに肩がズーンと重く、手が動かしづらい
鍵を回す、ドライヤーを持つ、などで違和感
指先が冷たい・力が入りにくい
「首まわりが張っているから、伸ばせばいい」と思っていませんか?
緊張している筋肉は、防御反応により“硬直”している状態。
無理に伸ばすと、神経がさらに引き伸ばされてしびれが悪化することも。
特に自己流のストレッチは「筋肉の緩解」ではなく「神経の牽引」になるリスク。
同じ神経の通り道で「複数箇所」が同時に圧迫や摩擦を受けることで、
一ヶ所の刺激だけでは起こらない強い症状が出る現象です。
たとえば…
上流 | 下流 | 結果 |
---|---|---|
斜角筋 | 肘〜手首の使いすぎ | 手のしびれが強くなる |
小胸筋 | 肩前の圧迫+姿勢の崩れ | 首〜腕にかけて鈍痛+だるさ |
※ 画像やMRIで「異常なし」と言われた方ほど、こうした“見えない負担”が関係していることが多いのです。
アールカイロでは、以下の3本柱で「神経が正常に働ける状態」を整えます。
最小限の刺激で神経反応を見る
強刺激で無理やり“押す・剥がす”ことはしない
自律神経の感受性を下げることで痛みの回路をオフに
筋・膜の過緊張を解くことで局所循環を改善
横隔膜・肋骨・肝臓など呼吸器系の構造を調整し、全身の酸素取り込みを改善
内臓調整で副交感神経を優位にし、過緊張状態から回復へ
スマホ首・猫背・胸郭の硬さが原因になることが多い
姿勢と呼吸のクセを分析し、整いやすい姿勢に再教育
エネルギー不足を起こす「食習慣(朝食抜き・糖質過多・鉄不足など)」を是正し、ATP産生と神経機能を底上げ
斜角筋の硬さや圧迫があっても、「神経が元気であれば症状は出ない」ケースも多くあります。
圧迫は“きっかけ”に過ぎず、症状は“神経の状態”で変わる。
症状が出るのは「治る力(神経の働き)が下がっている」というメッセージです。
「画像では“圧迫されていますね”と説明されるかもしれませんが、実は圧迫だけでしびれは出ません。神経がエネルギー不足になっていたり、ストレスで反応が過敏になっていることが大きいんです。」
「まず“神経が働ける環境”を整えていけば、圧迫があっても症状が出ないようになるんですよ。」
「ただ緩める」ではなく、なぜ緊張するのかを逆算して整える。
「圧迫を剥がす」のではなく、神経・呼吸・栄養・思考の順に整える。
だからこそ、アールカイロでは「再発しない状態」を目指した包括的アプローチを行っています。
ストレッチやマッサージで一時的に良くなっても戻る
首を伸ばすとしびれが出る/強くなる
病院で異常なし、でも症状が続く
夜間痛・朝のこわばり・長時間の作業で悪化する
薬やブロック注射でも改善しなかった
※文中の一部 画像はteamLabBody様の許可を得て、掲載しております。
著作権はteamLabBody様にありますので、当院ブログからの転載・二次利用などは堅くお断りいたします。
斜角筋症候群を改善させるための通院回数や期間は症状の程度や原因、発症してからの期間、年齢、生活習慣などによって変わります。また、必ず治るとも断言できません。
しかし、これまでの臨床経験からある程度の目安はお伝えすることができます。
【1~3カ月くらい前に発症or軽い痛みやしびれ】
1週間に1回の通院で3~5回
【1年以上前に発症or強い痛みやしびれ】
1週間に1~2回の通院で12回以上
症例紹介
40代 男性 カメラマン
右腕のだるさと右手の握力低下、指の曲げ伸ばしのしづらさ。
1年ほど前から、右手の指が左手に比べて動かしにくくなり、徐々に握力も落ちてきた。
握力検査では、右手に明らかな低下がみられた。
神経学的検査にて、右手の親指・人差し指・中指の指先から手のひらにかけて皮膚感覚の低下(感覚鈍麻)が左手と比較して顕著にみられた。
筋力テストでは、とくに人差し指・中指を曲げる筋肉の機能低下が確認された。
さらに、関節可動域検査・整形外科学的検査などの結果を総合し、首の筋肉の関与が疑われたため触診を実施したところ、右前斜角筋(ぜんしゃかくきん)に明らかな過緊張と機能低下が確認された。
以上より、この男性の腕のだるさや握力低下の主な原因は、前斜角筋の過緊張による神経の圧迫(斜角筋症候群)である可能性が極めて高いと診断。
まず、前斜角筋に過緊張を引き起こす要因である頸椎の歪みを3か所矯正。
その後、再度筋肉テストを実施するも、前斜角筋の機能は回復せず。
そこで、キネシオテーピング療法を前斜角筋に対して実施。
再検査により機能改善が確認され、
・右腕のだるさが解消
・指を曲げる筋力が回復
・握力および指の動作が左手と同等レベルに回復
ただし、手の皮膚感覚はまだやや鈍さが残る状態。
これは長期的な神経圧迫による影響であり、完全な回復には時間を要することを説明。
神経が完全に回復する前に再び圧迫されると再発のリスクが高まるため、
今後は次のアプローチを継続:
前斜角筋を緊張させにくくするための筋スラッキング療法の併用
キネシオテーピング療法による筋肉の正しい動きのサポート
頸椎だけでなく、胸椎・腰椎・骨盤の歪みの矯正
歪みに関連する筋肉・筋膜の治療
日常生活における姿勢や身体の使い方の見直しと指導
(解説)
今回のケースでは、撮影姿勢やカメラを構える姿勢のクセが積み重なり、首まわりの筋緊張を生み、それが神経圧迫に発展したと考えられる。
神経が圧迫された状態が長期にわたると、感覚や運動の回復には時間がかかるため、症状の早期改善だけでなく再発を防ぐための全身調整と生活指導が不可欠であると説明し、継続治療を提案。
「検査では異常がないけど、症状は確かにある」
そうした悩みに、ずっと向き合ってきました。
私はこれまで25年以上、延べ2万人以上の手足のしびれ・神経痛を診てきた治療家です。
医療機関では「異常なし」と言われた方が、実は神経の通り道にある“見えない圧迫”や、
筋肉・姿勢・呼吸のクセから症状を繰り返していたケースを数多く見てきました。
アールカイロでは、
構造(骨・筋肉)だけでなく、神経・内臓・感覚・思考のつながりまで含めて、
「なぜその症状が出たのか」「なぜ繰り返すのか」まで丁寧に見立てる施術を行っています。
◆施術歴:25年以上
◆対応人数:のべ20,000人以上
◆得意分野:手足のしびれ/神経痛/筋・膜・神経の評価と改善
◆理念:「“治す”より、“治りやすい身体”を一緒につくる」「どうしても良くならない」