【症例紹介4】朝起きたら首が動かない──“寝違え”ではなかった斜角筋の痙攣が原因だった一例(30代女性)

「何もしてないのに首が動かない」
「冷え?寝違え?でも痛みがどんどん強くなる…」

そんな“明確なきっかけがない急な痛み”は、誰にでも起こり得るもの。
今回は、“動かせない首”の原因を「筋肉の引きつり」と「姿勢の連鎖」から紐解いた症例をご紹介します。

◆ 状況と背景

  • 患者:30代・女性・事務職(長時間座位)

  • 主訴

    • 上を向いたり首を回すと、左側の首の付け根に鋭い痛み

    • 症状は2日前から/思い当たる外傷や事故はなし

  • 発症のきっかけ(推定)

    • 3日前に職場で大掃除

    • 窓拭きなどで上を向く動作が多かったとのこと

 

「痛めた記憶はないんですが、なんだか朝から首が全然動かなくて…」

◆見立てと考え方

  • 炎症反応なし

  • 左側の前・横・後ろの筋群に明確な張りと圧痛

  • 可動域は約半減/筋力テスト困難

  • 手技細胞組織移動テストにて以下の筋群と筋膜に反応あり:

    • 前斜角筋/中斜角筋/後斜角筋
       

一見“寝違え”のように見えるこの痛みも、
「筋膜が長時間引き伸ばされた結果、痙攣を起こしていた」ことが判明しました。

◆ アプローチ

「冷やす」「安静にする」だけでは、痙攣は逆に悪化することがあります。
そこで、“過緊張した筋肉が緩む構造”を優先的に整えました

 

  1. 左の斜角筋群にキネシオテーピング+筋スラッキング療法
     → 張りと圧痛が消失/関節可動域と筋力が回復
     → 首の動きによる痛みも大幅に軽減

  2. 頸椎(3箇所)の歪みを矯正
     → 神経と筋のスムーズな連動性を回復

◆ 結果と変化

「“首を回せる”ってこんなにありがたいんですね」
「ちゃんと吸い込めるのも嬉しいです」

 

痛みが消えただけでなく、“首がちゃんと支えられている”という感覚が戻ったことで、
呼吸・視界・姿勢までもが軽くなったような印象でした。

◆ 今後の方針と再発予防

  • 座位姿勢の分析で:

    • 右肩が下がり/左のお尻に体重が偏る姿勢を確認

    • この姿勢が斜角筋群を慢性的に引き伸ばす構造をつくっていた

  • 今後の方針:

    1. 胸椎・腰椎・骨盤の歪みの調整(今回は未処置)

    2. 座り方や肩の位置、荷重の癖の再教育

    3. 筋膜と神経の連携をサポートする生活動作の提案

「寝違えかも」と思って放置した首の痛み、

実は“筋膜が限界を超えた結果”としての痙攣だったというケースも少なくありません。

冷やすべきか、温めるべきか──
その判断は“中の状態”を知らないと逆効果になることもあります。

 

同じような急な痛みに悩んだら、
「何が起きたか」より「どんな姿勢が続いていたか」に目を向けてみると、
体からのメッセージが聞こえてくるかもしれません。

「寝違えかな?」と思っていた首の痛み、
実は“斜角筋”という首の奥の筋肉が関係していることもあります。
斜角筋症候群について詳しく見る
「温めるべき?冷やすべき?」「これって病院に行くべき?」
判断に迷う首の痛みは、ぜひ一度ご相談ください。
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