
「血流が大事」
「呼吸を整えよう」
「鉄・タンパク質・ビタミンをしっかり摂ろう」
── こうしたセルフケアの考え方は、今では広く知られるようになりました。
実際、それらを取り入れて調子が良くなる方も多くいらっしゃいます。
でも、現場ではこんな声も少なくありません。
「栄養も摂ってる。呼吸も意識してる。でも…まだスッキリしない」
「血流も良くなってきたはずなのに、不調が抜けない気がする」
ちゃんとやっているのに整わない。
頑張っているのに報われない。
その理由は、“巡るもの”ではなく“巡る構造”にあるのかもしれません。
巡っているのに、届かない理由

私たちの身体の中では、血液だけでなく「間質液(かんしつえき)」という水が筋膜のすき間を流れています。
これは細胞と細胞の間を満たし、栄養や酸素を届け、老廃物を運び出す、いわば“体内の川”のような存在です。
けれど、こういった現象が起こります:
スペースが無くなると、体の中の水の流れが悪くなります。
流れが悪くなると、老廃物や熱が滞り、身体に熱がこもってきます。
熱がこもると、間質液の粘性が高まり、水は“ベタベタ”として巡りにくくなっていきます。
つまり、栄養や血液は巡っているのに、“届かない”状態が起こっているのです。
筋膜とは、水の通り道をつくる「動けるネット」
この間質液のルートを構成しているのが「筋膜」です。
筋膜とは、皮膚・真皮・皮下組織・線維層など、表皮から筋肉までを網目状につなぐ構造体。
“膜”というより、空間を持って動けるネットワークと捉える方が適切です。
このネットがねじれたり、癒着したりすると、
その中を流れる水が滞り、身体の“うるおい”や“熱の抜け”が妨げられてしまうのです。
「流体筋膜動可法」は“巡れる構造”を整える施術
こうした構造の偏りに着目したのが、私たちが行っている流体筋膜動可法です。
この施術では、
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姿勢のゆがみ
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筋膜のねじれや癒着
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横隔膜や内圧の左右差・バランス不全
といった「普通の状態から外れている場所」を見つけ出し、
身体が本来もっている水の自動循環力を引き出していきます。
キネシオの「空・動・冷」とは?
当院が施術を行う上で、常に大切にしているのが「空・動・冷(くう・どう・れい)」という視点です。
これは、キネシオテーピング療法における“身体の見方”そのものでもあります。
スペース(空)があると、動き(循環)が悪くならず、熱がこもらない(冷)
空(くう):身体に流れる“スペース”があること
動(どう):水が巡る“動き”があること
冷(れい):余分な熱が抜け、体内にこもらないこと
この状態をつくることで、身体は“整える”のではなく、“整っていく”方向へ自然に向かっていきます。
血流・栄養・自律神経との違い

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血流改善 → 「中身を流す」こと
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栄養補給 → 「中身の質を変える」こと
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自律神経調整 → 「調整力を整える」こと
そこに「通る構造そのものを整える」という視点を加えると、
“変わらなかった理由”に新しい答えが見えてくるかもしれません。
「変わらない」のは、あなたのせいじゃない

何かが足りないわけでも、間違ったわけでもありません。
構造が“巡れる状態”になっていなかっただけかもしれません。
流体筋膜動可法は、身体の中に
「スペースがあり、動きがあり、熱がこもらない」構造をつくるアプローチです。
整えているのに、整わない。
そのときは、“流れ”ではなく“通り道”に目を向けてみると、
身体が変わるきっかけが見つかるかもしれません。