【症例17】「朝起きたら、首が動かない」──肩甲骨まで広がる痛みの背景にあったもの

◆最初に感じていた違和感・不安

最初はただの肩こりだと思っていた。
いつもの左肩の重さ。いつもの疲れ。

けれど、ある朝突然、左の首から肩甲骨にかけて鋭い痛みが走った。
とくに朝がつらい。下を向いたり、右に首を傾けると、ズキンと響く。
日中は少し落ち着くけれど、何かが変だと感じていた。

5ヶ月ほど前から鍼に通っていた。
凝りが取れた気もするけれど、根本的に変わらない何かがあるような気もしていた。

◆見立てと気づき

触れた瞬間にわかる左側の張り。
肩の筋力をチェックすると、左だけ明らかに力が入らない。

肩こりや筋肉の問題に見えて、
実はその奥に──
「頚椎の椎間板から飛び出した髄核」が、神経を圧迫している可能性があった。

筋肉をほぐしても取れなかった痛みは、
筋肉ではなく、“神経が押されていた”ことで生じていた。

◆取り組みと変化のプロセス

まずは、頚椎の4番と5番の間にある椎間板を整えるため、
頸椎の歪みを調整。
そのうえで、髄核の圧力を逃す目的で、マッケンジーエクササイズを指導。

すると──
下を向いた時、首を右に倒した時の痛みはすっと消えた。
左肩の筋力も、きちんと戻ってきていた。

◆伝えたこと・伝えなかったこと

一時的に痛みが引いても、神経の通り道が再び狭まれば再発する
今回はとくに、首に症状が出ていたものの、
その引き金は「普段の座り姿勢」や「背中・腰の歪み」にもあった。

そこで、背中(胸椎)や腰(腰椎)の調整は次回以降に。
また、身体に無理のない範囲で、マッケンジーエクササイズのやり方も、
“守るためのセルフケア”として伝えた。

突然の痛みは、「今だけ」の問題だろうか。
それとも、ずっと前から積み重なってきた“姿勢の癖”が形を変えただけなのかもしれない。

パソコン|モバイル
ページトップに戻る