【症例15】「まっすぐなら平気。でも曲げると痛い」──繰り返されていた腰の違和感が“神経の圧迫”による循環不良だった

◆最初に感じていた違和感・不安

右腰の痛みはすぐに治まった。
けれど、そのあとから残った背骨の奥の違和感だけが、ずっと消えなかった。

まっすぐ立っているときや寝ているときは気にならない。
でも、しゃがむ・かがむ・掃除で体をくの字に曲げると、そこだけが反応する。

接骨院では「もう大丈夫でしょう」と言われ、
以前鍼で楽になったこともあったけれど、今回は違った。

「痛いけど、ちゃんと説明できない」
そんなモヤモヤだけが残っていた。

◆見立てと気づき

右腰には張りも痛みも見当たらない。
けれど、腰椎の1番・3番・4番を押すと、ピンポイントで響くような圧痛があった。

さらに、右足の親指に力が入りづらく、
腰を曲げたときにだけ筋力が回復するという神経的な反応。

これは、「姿勢によって神経が圧迫されている」サイン。
筋肉や関節の問題ではなく、神経の通り道にある椎間板周囲の循環不良や滑走障害が疑われた。

◆取り組みと変化のプロセス

腰椎の歪みを、4番を含めた3か所、さらに骨盤を矯正。
続けて、マッケンジー体操を用いて神経根の血流と滑走性を促すような動きを繰り返した。

すると、くの字に曲げても痛みが出ない。
しゃがんでも、引っかかる感覚がない。
右足の親指にも、しっかりと力が戻っていた。

本人が言った、たった一言。
「えっ、こんなことで変わるんですね」
それが印象に残っている。

◆伝えたこと・伝えなかったこと

症状が出た原因よりも、「症状が残った構造」を丁寧に伝えた。

今回は、2か月以上経過していたが、
幸い、神経自体は回復できる余白が残っていた。

けれど、背骨の歪みや日常姿勢による再圧迫が起これば、また元に戻ってしまう
今回は見送った胸椎・頸椎の調整、筋膜の再構築、そして日常動作の見直し。
それらが再発予防において鍵になることを、静かに伝えた。

「真っ直ぐ立ってるときは大丈夫」
でも、かがんだときにだけ現れる痛み。

それは、動きそのものではなく、
動こうとしたときに“通れなくなった道”があるというサインだったのかもしれない。

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