【症例14】“ストレッチだけが痛い”太もも裏と股関節の違和感──試合後に現れる右腰の痛み、その裏にあった筋膜の連動

◆最初に感じていた違和感・不安

走る・蹴るは問題ない。
けれど、ストレッチになると、太もも裏が突っ張る。
立ったまま足を開いて内ももを伸ばすと、股関節の外側に鈍い痛みが出る。

サッカーの試合の2〜3日後になると、右腰がじんわりと痛む。
当日や翌日は気にならないのに、少し落ち着いたころにズンと来る。
「筋肉痛のような…でも、明らかに違う気がする」

10年前から、なんとなく繰り返してきたこの感覚。
トレーニングで鍛えていても、どこかスッキリしない。
そんな違和感がずっと続いていた。

◆見立てと気づき

ストレッチだけで痛む。動作時には気にならない。
筋肉そのものではなく、「伸びるときに引っかかる構造」があるのではないか。

検査では、左の腰方形筋が緊張し、右の大腿二頭筋と左のハムストリングスが力を出せていなかった。
でも、股関節外側の筋肉は正常だった。

 

つまり、動かす側ではなく、支える側のアンバランスが原因だった。
腰や骨盤のゆがみが、全体の連動を歪ませていた

◆取り組みと変化のプロセス

背骨の歪みは、腰椎に2カ所、胸椎に1カ所。
骨盤も調整し、左右非対称の動きに偏らない構造を整えた。

一度の矯正後、筋肉テストの反応は改善。
でも、それだけでは不十分と判断し、
キネシオテーピングとスラッキングを加える。

すると、ストレッチ時の太もも裏の痛みも、股関節の外側の違和感も完全に消失
「こんなに真っすぐ伸びるの、久しぶりかもしれない」と、本人が驚いていた。

◆伝えたこと・伝えなかったこと

「結果が出た=終わり」ではない。
今回は頸椎へのアプローチは見送り。
それでも、十分な変化があったから。

再発防止には、連動する筋膜ライン全体の調整と姿勢の再教育が不可欠。
試合後に症状が出るというタイミングも、「回復過程に隠れた負担」がある証拠。

「今は問題がない部分」こそ、次に向き合うべきテーマかもしれない──
そう伝え、次回に備えた。

試合中は問題ないのに、
落ち着いたころに痛みが出る。

それは、動いているときにはカバーできていた歪みが、
静かになった身体の中で、“ようやく表に出てきた”だけなのかもしれない。

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