【症例紹介5】咳・寝返り・深呼吸がつらい──「神経圧迫」ではなく“筋肉の痙攣”が原因だった背中と肋骨の痛み(70代女性)

「くしゃみするだけで背中に響く」
「整形で注射も打ったけど、全然よくならない」

 

レントゲンで“神経の圧迫”と診断されても、
本当の原因は“動けなくなっている筋肉”かもしれません。
今回は、そんな“見立ての違い”で大きく改善した症例をご紹介します。

◆ 状況と背景

  • 患者:70代・女性・主婦

  • 既往歴:高血圧(服薬中)/左足の複数骨折歴/左肋骨ヒビ歴あり

  • 主訴

    • 背中(肩甲骨下)と左右の肋骨全体が常に痛む

    • 寝返り・深呼吸・くしゃみ・あくび・起き上がる時に悪化

    • 温めたり座っていると少し楽になる

  • 発症の経緯

    • 10日前、自転車を押して段差を超えようとした際に左背中に痛み

    • 数日後、左右両側の肋骨まで痛みが広がる/右側が特に強い

  • 整形外科受診

    • 胸椎7番の神経の出口が狭いと診断

    • 注射×2回+鎮痛薬 → 効果なし

 

「動かなくても痛いし、動くともっと痛い。骨じゃないの?って怖くて…」

◆ 見立てと考え方

  • 右肩甲骨下部〜肋骨外側に圧痛と緊張

  • 広背筋の機能低下/筋膜の癒着反応あり

  • 起き上がり動作にて右外腹斜筋の関与も確認

レントゲンでは「神経の出口が狭い」と言われたこの痛みも、
実際は「広背筋が限界まで引き伸ばされて痙攣を起こしていた」ケースでした。

◆ アプローチ

「痛みを止める」のではなく、
「痛みを出している筋肉の環境」を整える──

 

  1. 右広背筋にキネシオ+筋スラッキング療法
     → 呼吸や寝返りの痛みが大きく軽減

  2. 胸椎・腰椎の歪みを調整(各1箇所)
     → 動作時の筋負担を改善

  3. 右外腹斜筋にキネシオテーピング追加
     → 起き上がる時の痛みも明確に軽減

◆ 結果と変化

「呼吸が浅くて苦しかったのが、今はしっかり吸える」
「寝返りの時にビクッとしなくなった」

 

痛みが消えたこと以上に、
“自分の体がちゃんと動ける”という安心感が戻ったことが最大の変化でした。

◆ 今後の方針と再発予防

  • 姿勢分析で確認:上半身が右に傾き、捻れが強く出ていた
     → 長年の“癖”による広背筋の慢性的引き伸ばしが背景

  • 今後の対応:

    1. 未調整の頸椎・骨盤の歪み修正

    2. 左右バランスと体幹の安定性向上

    3. 姿勢と荷重の再教育による再発予防

 

痛みが出たのは“突然”でも、原因は“日常の蓄積”。
だからこそ、根本から見直す価値があるのです。

「骨じゃないのに痛い」
「レントゲンでは異常なし。でも痛む」

そんな時は、“画像に映らない筋膜や動きのクセ”に目を向けてみてください。

 

“痛みのある場所”より、
“痛みを生んでいる構造”に気づけるかどうか──
そこに、改善のヒントがあるかもしれません。

同じように「病院では異常なし」と言われた痛みでお悩みの方へ。
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