【症例紹介1】原因が分からないお尻〜太ももの張り。実は“梨状筋”が神経を圧迫していた話

◆ 状況と背景

  • 患者:40代・女性

  • 生活習慣:週1回スポーツジムで筋トレ

  • 主訴:左のお尻〜ふくらはぎ上部にかけての“張り”

  • その他症状:腰の痛みなし/日常生活では気にならないが、前屈やハムストリングスのトレーニングで明確に症状が出る

本人は「筋肉痛だと思っていたが、数ヶ月治らず不安に」と語る。

◆ 検査と見立て

  • 触診:左仙骨周辺に明らかな緊張/太もも〜ふくらはぎに明確な左右差はなし

  • 筋力テスト:梨状筋に機能低下あり。他筋は正常

  • 可動域・整形学検査:坐骨神経の圧迫を示唆

診断名相当: 梨状筋症候群(梨状筋の過緊張による坐骨神経圧迫)

◆ 治療と変化

  • キネシオテーピング+筋スラッキング → 前屈時の症状が顕著に改善

  • 姿勢検査で「座位時に左に荷重+右肩下がり」の歪みを確認

  • 骨盤(左仙腸関節)と背骨(腰椎・胸椎)の調整

  • 再検査で「わずかに気になる」レベルまで症状軽減

◆ 原因の深堀り

この方の特徴は…

✅「腰は痛くない」
✅「筋トレを習慣にしている」
✅「はっきりとした外傷がない」

つまり…

“痛みがない=問題がない”とは限らない。

  • 日々の姿勢(無意識の左荷重)

  • 骨盤の不安定性(仙腸靱帯の伸張)

  • 梨状筋の代償性緊張

  • 長期間の坐骨神経圧迫 → 症状の慢性化

が積み重なった結果と考えられます。

◆ 今後の方針とアドバイス

  • 再発予防のための3本柱
     ① 骨盤の安定(仙腸関節)
     ② 背骨全体の歪み修正(特に頸椎)
     ③ 筋膜の調整と生活姿勢の修正

  • セルフケア指導
     ・足を組まない
     ・下半身(特にお尻)の筋トレは一時中止

放置が“回復しにくさ”を招くことも

このケースのように、**「痛みではなく張り」「明確なきっかけがない」**と見過ごされがちな不調も、神経系や骨格・筋膜のアンバランスから起きています。

放っておくと、治療までに時間がかかるだけでなく、「再発しやすい体」になってしまうことも。

 

違和感が長く続くときは、早めのチェックが“未来の健康貯金”です。

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