「足の付け根(そ径部)が痛い」
「歩き始める時に股関節が痛い」
「股関節が硬くなって、靴下が履きにくい」
などの症状がある場合は、『変形性股関節症』の可能性があります。

変形性股関節症とは、どのような状態のことをいい、どのような症状があり、
何が原因で起こるかを解説し、それに対して一般的に病院などで
行なわれる治療と当院で行なっている治療の違いを説明します。
どなたにでもわかるよう専門用語はできるかぎり使わず、
写真と解剖図を使って解説します。

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ご覧いただくことを推奨しております。

股関節

股関節(新・前) 股関節(新・後)
↑左:前から見た股関節/右:後ろから見た股関節
※黄色いのは、関節軟骨(かんせつなんこつ)

股関節前靱帯 股関節後靱帯
↑左:前から見た股関節の靱帯(じんたい)/左:後ろから見た股関節の靱帯
※右側の靱帯のみ黄色で表示

股関節は骨盤の骨である寛骨(かんこつ)と、大腿骨とを連結している
人体の中で最大の関節です。
深く半球状の凹み(寛骨臼:かんこつきゅう)にほぼ球形の大腿骨頭が
半分以上包み込まれているので、いろいろな方向に動かせるだけでなく、
体重を支える安定性も兼ね備えています。
大腿骨頭の表面と寛骨臼の内側を覆う関節軟骨は、骨よりもずっともろい
代わりに弾力があって関節が動く時にクッションの役目を果たします。
二つの骨を連結するために関節包が覆い、その外側を靱帯が補強しています。
関節包の内側には、股関節をスムーズに動かすための潤滑油の役目をする
滑液(かつえき)が入っています。

変形性股関節症とは

とくに中年以降の女性に多くみられます。
関節の表面を覆う関節軟骨がすり減って薄くなったり、部分的に無くなって
骨がむき出しになったりします。
損傷した組織を修復するためには、血管によってその材料が運び込まれる
必要がありますが、骨と違って軟骨には血管がありません。
そのため、一度削れた関節軟骨は修復されず、むき出しになった骨は
過剰に修復しようとして、余分な骨のでっぱり(骨棘:こつきょく)を
作ります。この骨のでっぱりにより、関節が狭まって動きが制限され、
炎症を起こした状態を『変形性股関節症』といいます。

〔変形性股関節症の症状〕

股関節の痛み(前)

椅子から立ち上がる時や歩き始めに足の付け根(そ径部)が痛み、
股関節が深く曲げられなくなり、靴下が履きにくくなったりします。
症状が悪化して痛みがさらに強くなると、長時間立っていたり、
歩いたりすることがつらくなり、足を引きずって歩くようになることも
あります。
また、何もしなくても痛むようになったり、夜寝てる時に痛むように
なったりもします。

〔変形性股関節症の原因〕

一般的には、先天性股関節脱臼や臼蓋(きゅうがい)形成不全、
大腿骨の形などの生まれつきの異常が原因で多少問題を抱えた関節が、
加齢による退行変性に耐えられなくなって起こると言われています。
しかし、本当にそれが原因だとしたら、生まれつきの異常がある人は
すべて変形性股関節症になっているはずですが、実際にはそんなことは
ありません。
変形性股関節症と診断された方を実際に診てみると、ほとんどの方に
ある共通点がみつかります。それは、背骨の歪み骨盤の歪みによる
身体の傾きです。

3be70ee837561356a8166ea3eee9718d_s 右足重心で立つ

大腿骨頭が寛骨臼内に正しく位置すれば、余計な筋力を使わずに
骨格構造で体重を支えられ、なおかつ多少の負担が掛かっても
関節軟骨がすり減ったりすることはありません。
しかし、例えば身体が左右に傾いたりすると、体重を支えるために
寛骨と大腿骨をつないでいる筋肉のうち、とくに大殿筋や中殿筋
内転筋群(長・短内転筋、恥骨筋、大内転筋)を引き伸ばして
しまったり、過緊張させてしまったりするので、大腿骨頭が
正常な位置からズレて、本来なら当たらないはずの所が当たったり、
関節軟骨に過剰な負担を掛けたりします。
その結果、関節軟骨がすり減ったり、骨のでっぱり(骨棘)ができて
関節が狭まったと考えられます。

大殿筋(新) 中殿筋(新)
↑左:大殿筋(だいでんきん)/右:中殿筋(ちゅうでんきん)
※後ろから見た右足の筋肉

長内転筋 短内転筋
↑左:長内転筋(ちょうないてんきん)/右:短内転筋(たんないてんきん)
※前から見た右足の筋肉

恥骨筋 大内転筋
↑左:恥骨筋(ちこつきん)/右:大内転筋(だいないてんきん)
※前から見た右足の筋肉

〔変形性股関節症の治療〕

一般的に病院などで行なわれる治療は、湿布や痛み止めの薬が処方され、
マッサージや電気による治療や筋力トレーニング、リハビリ運動、
体重コントロールの指導などが行なわれます。
それでも症状が回復しなかったり、日常生活に支障をきたす場合は、
手術が行なわれます。(骨切り術、人工関節置換術など)

当院の治療は、
①まず、患部に対する治療を行ないます。
 寛骨と大腿骨をつないでいる筋肉の中から股関節を狭める原因となる
 問題(過緊張や伸張)を起こしている筋肉を特定し、
 その筋肉とそれを包んでいる筋膜に対して、筋スラッキング療法
 キネシオテーピング療法で治療します。

筋肉が原因というと、すぐにストレッチをしたがる人は多いですが、
過緊張している筋肉をストレッチすると、筋肉と筋膜が癒着してるところを
引き剥がして傷つけ、そこが修復される過程でまた癒着するということを
繰り返すことになるので、かえって治りにくくなります。
また、引き伸ばされている筋肉をストレッチすると、
変形して伸びてしまっている筋膜をさらに引き伸ばすことになるので、
筋膜を傷めるだけでなく、縮めなくなって力が入らなくなります。
そのため当院では、ストレッチをやったり、やってもらったりすることは
ありません。

次にその筋肉に負担を掛け続けている原因を治療します。
②股関節を狭める原因となる主な6つの筋肉は、すべて骨盤に付きます。
 そのため、骨盤の歪みにより、筋肉や筋膜が圧迫される可能性があるので、
 骨盤の歪みを矯正します。

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たとえば上の写真の女性のように上半身が右側に傾くと、
骨盤も右側に傾きやすく、右の大殿筋や中殿筋は過緊張し、
内転筋群は引き伸ばされるので、上半身を左右に傾ける
原因となる背骨の歪みも治療する必要があります。

③下図のように、①で特定した筋肉とつながって連動する筋肉の
 いずれかに問題(過緊張や伸張)が起こっていると、①で特定した
 筋肉にも問題を起こすので、 この中から問題のある筋肉をみつけ、
 その筋肉とそれを包んでいる筋膜を筋スラッキング療法
 キネシオテーピング療法で治療します。 

大殿筋、中殿筋+LL 内転筋群とDFL
↑左:後ろから見た右側の筋肉/右:前から見た右側の筋肉

ほとんどの場合、初回は患部に対する治療に重点をおきますので、
少なくとも症状の軽減がみられ、場合によってはほとんど気にならなくなります。
さらに2回目以降身体を歪みにくくするための治療も一緒に行なっていけば、
変形性股関節症を根本的な原因から治療することになるので、
症状の再発を防ぐだけでなく、骨の変形や軟骨のすり減りが、
それ以上進行しないようにすることもできます。
ただし、一度変形した骨やすり減った軟骨を元に戻すことはできません。

変形性股関節症で骨がでっぱっていたり、軟骨がすり減っていたとしても、
そこに何も当たらなければ、症状は出ません。
ですからよっぽどひどくなければ、骨を削ったり、軟骨を修復したりしなくても、
大腿骨頭を寛骨臼内で正常な位置に保てるようにさえすればいいのです。
よく関節軟骨を修復するために、軟骨の材料となるコンドロイチンや
ヒアルロン酸などのサプリメントを飲んでる方がいますが、
上述の通り関節軟骨には血管がないので、吸収できません。
また、コンドロイチンやヒアルロン酸を注射で注入したとしても、
軟骨がすり減っている所に骨が当たったままだと、治ることができません。

変形性股関節症の症状は、正しい診たてと適切な治療をすれば、
ちゃんと改善します。
もしも、あなたが股関節の痛みからできるだけ早く解放されたいのであれば、
なるべく早く治療することをオススメします。 

当院は予約制ですので、必ず事前に03-3414-7206までお電話ください。
 
 
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